【代理人列伝】代表監督を買収し、選手を代表に送り込んだ男
漫画「フットボールアルケミスト」では、いろんな代理人の裏技が登場しますが、その1つに「代表監督に賄賂を渡し、契約選手を選んでもらう」というものがありました。
先崎代理人がU20ブラジル代表監督に賄賂を渡す場面(©木崎伸也・12Log/白泉社)
代表監督買収の回の試し読みはこちら→
漫画を読んだ方から「実際にあるの?」とよく聞かれます。
はい、あるんです。特に南米において。
最も有名なのは、ウルグアイ出身の代理人、フアン・フィゲルです。
もともとシャツ販売や貿易業を行うビジネスマンでしたが、ウルグアイの名門ペニャロールでマネージャーを務め、クラブを南米王者やインターコンチネンタルカップ王者に導き、サッカー界で地位を築きます。
そこからブラジルへ渡り、ペレと契約して世界最初の「FIFA公認代理人」になりました。その後、フィーゴ、ロビーニョ、ジュリオ・バチスタ、ゼロベルト、フッキ、マルコス・セナ、ジーコなどの代理人を務め、世界的なネットワークを築き、「南米サッカー連盟より権力がある男」と呼ばれるようになりました。
日本ともつながりが深く、フィゲルの会社の日本担当が「テオ」ことテオドロ・フォンセカ代理人でした。テオはブラジル人選手を次々にJリーグに送り込み、現在はポルティモネンセのオーナーです。テオの息子は中島翔哉の代理人を務めています。
フィゲルがブラジル代表監督に賄賂を渡し、自分の選手を代表に選ばせていたと報じられているのは、次の期間。
1987-1988:シルバ監督
1991-1994:パレイラ監督
1998-2000:ルシェンブルゴ監督
たとえばミルトンはコリチーバに在籍していた1987年にブラジル代表に初選出され、翌年にイタリアのコモへ移籍しました。ブラジル代表に選ばれたことで価値が上がり、欧州移籍が実現したと言われています。
代表監督を買収して代表入りーー。倫理的には完全にアウトです。しかし選手の価値は間違いなく上がるのですから、選手からしたらこんな頼もしい親分はいないでしょう。
「サッカー界の闇は隠すのではなく、エンターテイメントにして楽しむべき」
そんな考えのもと、漫画『フットボールアルケミスト』では暗黒面を描いています。興味がある方は手にとってみてください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?