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幽刃の軌跡 #35

35話:「真男の暴走」


冒頭、平場宮殿の鳳凰の間には軍隊長7名が招集され、重々しい空気が漂っている。中央には真男、そしてその指示に従う各軍隊長たちが集まり、緊張感が高まる中、真男がその重責を感じながら話し始める。


真男:「今回の件、皆も存じておろう。八番隊長である平誠範が何者かによって暗殺された。前回も伝えている通り、九国からのスパイ及び軍内に情報を漏らしている者がいる。この事態を納めるためには、犯人を1秒でも早くあぶり出さねばならない。」


その言葉により、室内はさらに緊迫する。視線が交錯し、誰もが次の言葉を待つ。


真男:「そこでだ! 一番疑わしき七番隊を解体する! 七番隊員及び八番隊員は他の軍に均等に振り分ける! そして…軍隊長である牛若…お前には新しい任務を務めてもらう。」


真男は微妙な笑みを浮かべ、牛若に向き合う。その表情に牛若は即座に反論する。


牛若:「そのご判断には賛成できかねます。私及び七番・八番隊は、この事件の被害者であると断言します。」


だが、真男はその反論に対して激しく反応する。


真男:「黙れ!お前に決定権はない!」


真男は他の軍隊長にも目を向け、鋭い目で問いただす。


真男:「良いな朝光!至急、軍隊長たちと解体作業へとりかかるのじゃ!」


朝光:「かしこまりました。私は異論ありません。」


その静かな返事に対し、真男は他の軍隊長たちにも問いかける。


真男:「他に異論のあるものはいないか!?」


その時、那須が一歩前に進み、意を決して口を開く。


那須:「まだ牛若殿が確定していない段階で、このご判断は…」


真男:「お前も俺に逆らうか…」


その瞬間、部屋の緊張感がピークに達する。しかし、その時突然、会議室の扉が激しく開かれる。


真彦:「待て!真男!いや、総大将殿!」


真男:「なんや!真彦!」


真彦は冷静に一歩一歩、部屋に入っていく。全員が真彦に視線を集中させる。


真彦:「一点、確認したいことがある…。事件の前夜、八番隊駐屯地にて、一番隊長である平朝光殿を見たものがいるが…」


その言葉に、朝光は静かに笑い声を漏らす。


朝光:「私はその時、一番隊駐屯地内にいましたが、何か?証拠は隊員に聞いていただければと。」


その冷静な返答に、真男の顔色が一変する。


真男:「貴様!この後に及んでまだ疑うか!それも平家の本家の血筋である朝光を!」


真男の怒りは頂点に達し、彼の体から異様な気配が漏れ出す。その時、部屋の温度が急激に下がり、空気がピリピリと張り詰める。


真男:「いよいよ我慢の限界じゃ!許さん!」


隊長たちが何とか真男をなだめようと動くが、彼の怒りはすでに手に負えない。真男は激昂し、ついにその力を解放する。


真男:「霊域解放!」


次の瞬間、真男の周囲が激しい光に包まれ、彼の強大な霊力が室内を満たす。その圧倒的な力に、全員が目を見開く。



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