阿山慎耶Shinya_Ayama

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最近の記事

幽刃の軌跡 #44

第44話「将軍とエース」 平安国第二軍隊長、飯伏綾人と第三軍隊長、宇都宮影治の参戦によって、備前港での戦局は一気に動き始めた。平安国将軍・源尊と四国軍のエース・平琴太の戦いは、今や頂点を極めるほどの激闘となっていた。 尊「お前に一つ問いたい……。」 琴太「なんや?」 二人は刃を交えながら、互いの斬撃を躱し、鋭い目で相手の動きを見極め続ける。 尊「なぜ……今、この時に戦いを仕掛けた?お前たちの意図がわからん……。」 琴太は不敵な笑みを浮かべながら答える。 琴太「そ

    • 幽刃の軌跡 #43

      第43話 「備前港の死闘」 時は戻り・・・・現在! 平安国、備前港では「瀬戸内の乱」が激化していた。平安国と四国軍の激しい衝突が続く中、戦局は予断を許さない状況にあった。 中央では、平安国の将軍、源尊と、四国軍のエース平琴太が激しい刃の応酬を繰り広げていた。 琴太「いつぶりやろか。20年は経つか…平家がまだこの平安を納めてた頃やな。」 尊「その頃のことはもう関係ない…お前が今、平安に仇なす敵であることには変わらない。」 琴太「それはそうやな…。なら、本気でいかせて

      • 幽刃の軌跡 #42

        第42話「王の決断」 弁景は、自らの心の内で感じていた。これ以上、真男を拘束するのはもはや不可能だと――。 外苑は極度の混乱状態に陥り、兵士たちは互いに入り乱れ、もはや誰が味方で誰が敵か、分からぬほどの混沌に包まれていた。緊張感は最高潮に達し、戦いは次の局面を迎えようとしていた。 突如として、宮殿の扉が開かれ、一人の男が静かに外苑へと歩み出た。その姿は神々しく、同時に厳格でもあった。彼の登場は、戦場にいるすべての者たちに圧倒的な存在感を示し、混乱の中でもその声が響いた。

        • 幽刃の軌跡 #41

          第41話「対峙と裏切り」 霊域を解放した琴太は、影天部隊副官・篠原景秋を目掛け、猛然と突進する。彼の身体から放たれる圧倒的なエネルギーが周囲を震わせ、その勢いは誰も止められないかのようだ。 景秋はその力を前にし、汗を浮かべた。   「まずいぞ……このままでは……」 その瞬間、閃光の如く放たれた弓矢が、琴太の背後から飛び込んできた。 琴太「これは!?くっそ!」 弓矢は琴太の眼前にまで到達する。彼は素早く刃を引き、弓矢の衝撃を防ぐ。しかし、その衝撃の大きさに足を止めざる

          幽刃の軌跡 #40

          40話: 平場の戦局 々 朝光の首が飛び、首を持つ牛若はボロボロの姿に戻る。その瞬間、茂道も力を失い、白目をむいて床に崩れ落ちる。九国のスパイは暗闇に紛れて「森羅万象 無尽封域」を解き、奇妙な笑みを浮かべながら逃げ去る。 那須「やつを逃がしてはならん!!!」 真彦「那須、無理をするな。やつは直接この戦いには関与しておらん。深追いは禁物だ!」 綾香「それよりも、この惨状をどう説明すれば……?」 その場には牛若、真彦、綾香、明清、那須、意識を失った琳守と茂道が残ってい

          幽刃の軌跡 #39

          第39話:黒夜裂断(こくやれつだん) 牛若 VS 琳守・朝光 牛若はボロボロの姿で仁王立ちしていた。傷だらけの体を支え、再び立ち上がるその姿に、琳守と朝光の目には驚きの色が浮かんでいた。 牛若(心の声):「このままでは勝てない……この力を使うしか無さそうだな……」 牛若は静かに目を閉じ、深い呼吸をすると、低く呟いた。 牛若:「妖力解放……黒太夫(くろだゆう)!」 その瞬間、牛若の体から禍々しい黒いエネルギーが解き放たれた。霊域とは異なる妖力が渦を巻き、空気が変わる

          幽刃の軌跡 #38

          38話「決戦の嵐、牛若の覚悟」 牛若 VS 琳守 & 朝光 牛若と琳守の激しい斬撃戦から始まる。風の刃が周囲の木々を切り裂き、戦場はまさにカオスと化している。牛若は琳守の攻撃を巧みにかわしながら反撃の糸口を探るが、琳守の「風刃の舞」によるスピードと技巧には苦戦している。 牛若の心境描写が続き、彼の優勢をかいま見せる。しかしその瞬間、朝光がついに動き出す。 朝光の参戦 朝光が戦場に歩み寄り、その姿は「朝陽の鎧」で眩い光に包まれている。牛若が彼に向けて放った斬撃がことごと

          幽刃の軌跡 #37

          第37話「森羅万象の罠」 場面は平場宮殿会議室。 牛若と平琳守は、朝光と対峙している。静寂の中、空気は張り詰め、戦いの行方を左右する瞬間が迫っていた。 朝光は不敵に笑みを浮かべ、静かに口を開く。 朝光 「面白いものを見せてやろう…」 牛若はその表情に違和感を覚え、警戒を強める。次の瞬間、朝光は低い声で呟く。 朝光 「森羅万象……洗脳支配(ラバジェン・セべグロ)……」 その言葉と共に、朝光の瞳が鋭く光り、琳守は膝を崩して倒れる。驚愕する牛若は反射的に後方へ跳び

          幽刃の軌跡 #36

          36話「平場の乱:開戦」 真男「霊域解放……………氷焔剣舞(ひえんけんぶ)!!!!」 総大将である真男の霊域が解放され、青白い炎の剣が室内を凍りつける。彼の怒りと共に冷気が広がる中、影天部隊の三名、熊谷景虎、篠原景秋、そして奥洲弁景が真男のもとへ駆け込んだ。 熊谷景虎(影天部隊長) 「総大将!!落ち着いてください!!」 三人は真男を取り囲むようにして、剣を構えた彼を制止しようとする。しかし、真男は憤怒の眼差しで三人を睨みつけた。 真男 「なぜお前らがいる!?より

          幽刃の軌跡 #35

          35話:「真男の暴走」 冒頭、平場宮殿の鳳凰の間には軍隊長7名が招集され、重々しい空気が漂っている。中央には真男、そしてその指示に従う各軍隊長たちが集まり、緊張感が高まる中、真男がその重責を感じながら話し始める。 真男:「今回の件、皆も存じておろう。八番隊長である平誠範が何者かによって暗殺された。前回も伝えている通り、九国からのスパイ及び軍内に情報を漏らしている者がいる。この事態を納めるためには、犯人を1秒でも早くあぶり出さねばならない。」 その言葉により、室内はさらに

          幽刃の軌跡 #34

          第34話 平場宮殿での緊迫した会議 王都、平場宮殿の会議室は重い空気に包まれていた。平場王こと平政丸が玉座に座り、目の前に平真男と藤原真彦が深刻な表情で向かい合っている。誠範隊長の暗殺という重大な事件を前に、平場国の命運が揺らいでいた。 「この度の事件について、各自調査内容を報告せよ」と、平場王が重々しい声で命じた。 真男が先に口を開いた。「はい、俺からお伝えします。各隊員から聴取したところ、八番隊長の平誠範については、九国との繋がりが深いことが確認されています。我々が

          幽刃の軌跡 #33

          「潜伏の裏に潜む真実」第33話 時は遡る……影天部隊本拠地、平場宮殿地下室。 影天部隊長、熊谷景虎(くまがい かげとら)の厳しい声が響く。  「今回のメンバー構成を発表する。東部四軍には篠原副官を含めた4名が潜伏する。各自、潜伏先は副官に任せる。そして、私と共に西軍四軍に入る4名は今から打合せを行う。この任務は今後の平場国の命運を握るやもしれん。心してかかれ!」 別室で尊を含めた3名と景虎が対面する。 景虎「今回の重要任務だが、最も重要な潜伏先である七番隊には……那

          幽刃の軌跡 #32

          第32話「闇に潜む影」 平場国東部一番隊駐屯地 東部の朝は静かで、どこか張り詰めた空気が漂っていた。一番隊の駐屯地内では、整然とした統制が行き届いており、全員が規律正しく行動している。 影天部隊の琴太は、駐屯地内を歩きながら、心の中で考えていた。 「やはり、東部部隊に動きはなさそうだ。特にこの一番隊は統制が軍内でも随一だ。平家家系内でもエリート出身の朝光様のまじめで実直さが軍隊に統一されている感じだ...」 琴太が見上げる先に、一番隊長の朝光が、兵士たちを前にして厳か

          幽刃の軌跡 #31

          第31話: 「影天の密命」 平場国西部での軍国会議が終わった直後、総大将は静かに席を立ち、影天部隊の隊員たちを招き入れた。会議場は重厚な沈黙に包まれ、闇に紛れるように姿を現したのは、影天部隊の精鋭たち。黒装束に身を包み、冷徹な表情で総大将を見つめる彼らの姿は、まさに影に生きる者たちそのものであった。 総大将: 「見ておったか…どうや? あの中に怪しい人間はいるか?」 影天部隊隊員1: 「いいえ、まだ明確にはわかりません。しかし、やはり七番隊長の吉常が…」 影天部隊

          幽刃の軌跡 #30

          第30話: 軍国会議と密告の影 平場国軍の本陣。厳格な雰囲気の中、八人の隊長たちがそれぞれの席に着き、総大将である平真男を見据えている。会議の開始を告げる鐘の音が鳴り響く。 総大将・平真男は険しい表情で口を開いた。 「皆の者、最近の大和国の動きが影天部隊より報告されている。彼らは戦力を着実に強化しており、国境での警備を強化せねばならん。」 真男の言葉に、隊長たちの間で緊張が走る。しかし、その静寂を破ったのは、七番隊長である牛若吉常だった。 牛若吉常(うしかわ よしつね

          幽刃の軌跡 #29

          29話 - 霊域家の運命と平家の内乱の影 平場国には三大名家が存在する。霊域家、平家、藤原家。それぞれが深い歴史と強力な霊域を持ち、国の中心を支えてきた。しかし、そのバランスが崩れ始めている。 霊域家は、かつて「霊域の元祖」と称され、国一つを支える力を持つ家系だった。だが、ここ半世紀にわたり、霊域家には男子が生まれておらず、霊域家の血筋は絶えようとしていた。現在、霊域家の最後の後継者は静香であり、その運命は彼女に委ねられている。 静香は藤原家の真彦と結婚し、二人の間に娘