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陰翳礼讚

陰翳礼讚。

谷崎潤一郎の本ですね。


美容師なら必ず読む本です。

僕がこの本を初めて読んだのは20年位前だったと思います。
元々谷崎の本は好きで全部読んでますが、1番繰り返し読んでいる本。
それはきっと僕が美容師だからなのです。

陰翳礼讚は日本建築や文化の光と闇をわかりやすく解いています。
床の間や小路、縁側に厠。
日本家屋には昔から当たり前にあるもの。
それは今の日本家屋や建築においては、無駄なものになってますよね。
本来の日本建築において光の取り入れ方は欧米には無いものでした。
今は自然光をうまく取り入れるよりも照明がそれに変わってます。
それでもいいんだけど、自然光をうまく取り入れた昔の日本建築や家屋はそれ以上にその雰囲気が宿ってます。
それから、昔からある日本の食器の色は黒や赤が多いですよね。
しかも柄が金色だったり。
屏風もそうですよね〜。
金屏風なんかあります。
そんな事も自然と理解できてきます。
それには全て理由があり、それは日本古来の建築においてなくてはならない、光と闇と陰影をうまく取り入れた空間作りなのです。

それを現代建築に取り入れている方が安藤忠雄氏。
安藤さん、今や知らない人はいませんよね。
安藤さんの全ての建築を見るとそれがすぐわかります。
コンクリート打ちっぱなしのかっこいい空間には、しっかり自然光を取り入れる窓や空間が存在しています。

代表的なのは、〝光の教会〟
まじで凄いから、一度は見に行きましょう!
それから、安藤さんの建築はある意味無駄があります。
その無駄をあえてつくっているんです。
それは建築好きなら誰でも感じている事。

イサム・ノグチもそうですよね。
タイムリーなんで名前出しました。
今度、東京都美術館でイサム・ノグチ発見の道が開催されます。
ぜひ見に行きましょう!


僕が陰翳礼讚を何度も読んでしまうのは美容師だからです。
ヘアスタイルにも光と影があります。
正確に言えば、光と影を作るんですよね。
ヘアスタイルに光と影を作る事でヘアスタイルに陰影ができます。
それが立体感や動きになるんです。


〝髪の毛は動くもの〟


僕の切るヘアスタイルはそれが軸になっています。
それは、ヘアカラーも同じなんです。
今はカラーやって無いですが😁
カラーやっていた時は、これも光と影をうまく取り入れて明るさや色を決めてました。
後は組み合わせですね。
パーマもそうです、パーマも独特な配置と巻き方をします。
そうする事で生まれる立体感が出てきます。

それから仕上がったヘアスタイルだけをデザインしていません。
大切にしているのは、髪の毛を切ってサロンを出た瞬間からなんです。

歩くと髪の毛が揺れますよね。
外に出れば風も吹いていたり、髪をかきあげたり、手ぐしを通したり。
ヘアスタイルは、固まって動かない訳が無いんです。

歩いてもいい感じに揺れる毛束感。

風に吹かれても軽やかな毛先。

髪をかき上げても滑らかな手触り。

手ぐしを通しても崩れないフォルム。

それを僕に言葉として教えてくれたのが陰翳礼讚でした。
だから読み返します。
不思議と読み返すたびに、新たに気付いたり発見する事があるんですよ。
だから僕にとってバイブルの一つになっています。


確か谷崎が陰翳礼讚を書いたのは晩年、京都に移り住んでからだったと思います。
東京に住んでいたら絶対書けなかった本ですよね〜。
だから僕はたまに鎌倉に行きます。
そしてお寺や昔の日本家屋を見に行きます。
そうする事で新たにアップデートできるんです。
そして、美容師としての仕事にも日々落とし込めます。
それから僕は写真も撮るのですが、撮る写真も変わってきます。
音楽もそう、音に陰影ができてきます。
そして、どんどんクリエイティブと言うドツボにハマっていきます 笑。


最後に、この陰翳礼讚で何度も何度も主張しているのは、〝美はものそのものにあるのではなく、モノと光と影が作り出す陰影の綾にあると言うこと。〟



さぁ!
羊羹を食べながら、陰翳礼讚読みましょうね。



あっ。



小津安二郎も言ってましたよね!
〝日常の中にこそ非日常がある〟って。








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