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【詩】ウワバミの宴。

ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
まだまだ足りぬ。まだまだ満たされぬ。
もっともっと寄越せ。
じゃんじゃんと持って来い。

深き夜が明けて、清らかな朝がやってきた。
目の奥に光が差し込んでくる。
眼球の奥底に針を突き刺されたかのようだ。
一寸法師にやられた鬼へと想いを馳せる。

ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
まだまだ足りぬ。まだまだ満たされぬ。
もっともっと寄越せ。
じゃんじゃんと持って来い。

清らかな朝を越えて、眠れぬ昼がやってきた。
腹の中で飲み込んだはずの感情が暴れている。
胃袋の奥底から神酒が迫り上がってくるようだ。
我が子を飲み込んだクロノスへと想いを馳せる。

ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
まだまだ足りぬ。まだまだ満たされぬ。
もっともっと寄越せ。
じゃんじゃんと持って来い。

我は酒を一滴も呑まないが、集う者どもは酒に呑まれていく。
我は宴を望むと一言も発してはいないが、呑む者どもは乱痴気に騒いでいく。
我は心中を一瞬たりとも晒さないが、騒ぐ者どもは好き放題に罵っていく。
我は深き夜に一睡すらもしないが、罵る者どもは静かに酔い潰れていく。

ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
最も暗くなった夜明け前に一人きりで催す宴。
森羅万象を肴に天高く傾けり盃。

ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
ぐびぐび・ぐびぐび・ぐびっとな。
飲み込むのは、己の眼からこぼれ落ちる真っ赤な涙。
呑み干すのは、己の身から流れ出る真っ黒な血。

まだまだ足りぬ。
我が身に対する誹謗中傷。
まだまだ満たされぬ。
我が心に対する罵詈雑言。

夜にある理不尽をもっともっと寄越せ。
世にある不条理をじゃんじゃんと持って来い。

全てを喰らってやろう。

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