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幸せを追求するチーム

ウェブ制作のチーム作りを進めている。

そのチームは、マーケティング寄りのチームなのか、クリエイティブが強いチームなのか、はたまた... とあらゆる方向性が考えられるのだけど、このチームではメンバーが心地よく生きられることを第一に考えようと思っている。


「強くあるべき」「間違いなく生きるべき」というような風潮や雰囲気が社会を覆っている中で、そのように生きられる”強い”人たちが正しく見え、がんばりたくてもがんばれない人たちが肩身を狭くしているところを散見する。そのような姿を見ると、正しく生きている人たちの生き方を人間の正しい在り方にしてはいけないと思うし、そうでなくても胸を張って生きられる環境がつくれないかと思案している。

そしてウェブ制作もそういった世界と近い。
毎日夜遅くまで働いた人が評価される。なぜかいつもスケジュールに余裕がない。常に人々に晒され、情報の伝達を担うウェブサイトという性質もあるかもしれないけど、ここでは踏ん張れる人が重宝される。がんばっているという点では評価できるが、評価軸がひとつしかないことのほうが怖い。このギャップを埋めることができないだろうか。

このようなことを考えていた矢先、ピースの又吉さんが真心ブラザーズの「不良」という曲と、太宰治の「不良とは、優しさの事ではないかしら。」という一節をラジオで紹介していて、心に響いた。

ぼくらはもっと正しくなくていいよ
ぼくらはもっと不良でいいよ
周りの目をうまくくぐりぬけて
ぼくらはもっと自由でいいよ
まともなこと ぼくらに求めないで
(「不良」/真心ブラザーズ)

仕事をしているとひとつもミスをせず、取りこぼしがないように進めることがめちゃくちゃ正しいという価値観に吸い込まれてしまう。その価値観はある場面では必要だと思うけど、必ずしもそうでなくてはいけない理由もない。迷惑をかけてしまうのはいけないことだけど、そもそも完璧を前提にしないチームができたら...。

ここで「つよくないウェブ制作」という言葉が浮かんだ。ハッタリをかましながら無理めなスケジュールを根性論で乗り切ってきた自分から見ると、そんなふうにしてウェブ制作をすることが本当によいのかはわからない。

けれど、今は本気でそれができたらいいな思っている。そしてその分、「がんばりすぎないことは優しさでもある」ということを胸に秘めたい。自分にも周りにも優しいチームをつくりたい。

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今の社会は、誰かの監視の目が常にあり、物理的にも精神的にも身振りが小さくなってしまっているように感じる。周りの人に合わせることが一番無難で、同調することに精神を全振りしているような社会。

自分自身フリーランスでいることもそんな社会からの影響を最小限にしたいからでもある。これはクリエイティブへの集中力とも関係があると思う。

私達が人間らしく生きるためには社会との距離感が大切で、飲み込まれないようにコントローラブルな環境を作っていかなければならない。道具として使わされているような仕事をしていては人間らしい喜びは生まれない。僕の考えはこの土台の上に立っている。

そして一番大切にしたいと思っていることは、ひとりではなくいろんな人とやること。

社会はひとりでは生きられない。そのことを今ちゃんとわかりたいと思ったのだ。フリーランスで働いているのはひとりで仕事がしたかったから。そもそも人一人では生きていけないからとんだ勘違いをしてこの道をスタートさせたわけだけど、そのことを改めて捉え直したいと思っている。ここ最近、自分の弱さに直面することが多くて、「ひとりで生きていくことは強いことではないんだ」と気付かされてもいる。

誰かと接しているとき、自分が柔らかくなるのを感じる。ひとりではどうしても強くいなければいけないが、誰かと一緒にいれば柔らかくなれる。不思議なことに人間にはそのような性質が備わっている。気がする。では、会社ほど密ではなくフリーランスほど孤独でもない、適切な距離感の関係を継続してもてるようなチームというのはどうだろう。

ハッタリをかまさない。
強気でなくてもいい。
不安なことは不安と言ってもいい。

そんな雰囲気を持ち働く人たちが何の不安も感じずに働ける場所ができるかどうかは、それを思い描いた人がいるかどうかの違いでもあるのではないか。これはまだ一歩目を踏み出す前のことで、できるかどうかはわからない。けれど、このことを考えるとちょっとだけ楽しくなる自分がいる。

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「どうしたらそういうチームができるのか」と考えたときに、少しだけ具体的に考えてみたこと。

・理念を共有して、適切な距離感と連帯感を持てる仕組みをつくる。
 → 孤独感が生まれないようにする。
・オンとオフを明確にする。営業時間外の通知を受け付けない。
 → 仕事をしっかりとコントロールする。
・仕事の効率化。
 → ノウハウを一元管理して二度手間を発生させないことや、手戻りを防ぐための情報共有をしっかりするなど。
・ミスを想定した仕事の進め方をする。不安なことはメンバーやクライアントに共有する。
 → 人間は不安定であることを受け入れる。

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最初に頭でっかちにやるのもあれかなと思いつつ、頭の中の整理のために。これからの未来いろんなことをやりたいけど、まずはウェブ制作に絞って身近なところから始めたい。

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