見出し画像

グランタブローで映画【怪物】を読む

ルノルマンカードのグランタブローは36枚のカードを並べる技法です。
今回の動画のテーマは映画【怪物】です。タイトル画像がグランタブローを開いた結果です。動画とナレーション原稿を掲載します。
【動画再生時間 8分19秒】


ナレーションテキスト


こんにちは ルノルマンカードを読むひと、織瑛です。
本日は 是枝裕和監督 坂元裕二脚本 映画【怪物】をテーマに、36枚のカードを並べるグランタブローで読んでいこうと思います。
私は去年「怪物」が公開された年にどっぶり魅了され、映画館で21回鑑賞していまして、その狂ったように夢中になった想いを糧にグランタブローを切りたいと思いたちました。
「怪物」の主人公は小学生の男の子ふたり。湊(みなと)と依里(より)。
なので紳士のカードを2枚使います。
どちらの紳士が湊でどちらの紳士が依里かはあらかじめ決めずに並べます。
並べた結果で、グランタブローがどちらを示してきたかを判断します。

ふたりの距離

ふたりの紳士の距離。近いです。視線もお互いに向き合っています。
この近さは大河ドラマ光る君へのグランタブローを切ったときの
まひろと道長と同じですね。
上から三列目と四列目に紳士のカードはあり、左端に近いところにあります。上にも右にもたくさんカードがある位置は、これからの夢や時間がたくさんある始まったばかりの位置です。

依里

ふたりの紳士のカードのうち、向かって右を向いている紳士の頭の上にはクローバー。
これを見たとたん、あ、依里がいる!と思いました。
映画の中の依里の雰囲気はクローバーがぴったり。
クローバーは幼さや可愛さも示していますが、依里は草花を愛しむ子で、湊と歩きながら周囲の植物の名前をあげていくシーンがあります。
クローバーを頭の上にのせた紳士が依里、クローバーの右の紳士が湊と判断しました。
湊が見つめているのはクローバー。依里のイメージを見ています。
驚いたのが、このふたりの配置に加えて、クローバーのカードの位置も、光る君へのグランタブローのまひろと道長と同じなんですよね。
クローバーは初恋の間柄を示すときに現れてくるのではないでしょうか。
依里の下には何もありません。足の下に何もないという依里の置かれた境遇の不安定さが現れています。
依里が見ているのは犬のカード。友達ですね。上に湊がいます。友だちの湊を見つめていて、犬の下には手紙。
映画では依里と湊のSNSや電話のやり取りを使った印象的なシーンがありました。
依里の左には月。その上にライダー、その上に庭。
庭はふたりが過ごした秘密基地のような廃列車の車両が置かれた森を示し、
ライダーはその森の中の場所に出かけて行ったことを指していると見ます。
月は夜だと思いました。依里と湊が夜に森で会おうとするけれど叶わなかった重要なシーンがあるんですよね。

次は湊を見ていきます。
湊の上には塔。これは学校だと思いました。小学生ということです。
左には本。学校なので隣に本があるのは自然な感じなんですが、小学校の日々の中に秘密もあった、とも読めます。
湊は依里と仲がいいことをクラスメイトには秘密にしていたから。
湊の右側、背後には鍵のカード。鍵の上には道、下には樹があります。
湊が自分の行く道を見出す鍵は、樹が育つような長い時間をかけること、なのかもしれません。
道のカードは、こどものカードをキーにしたときにまた別の意味が現れました。

こども

小学生が主人公の映画なので、こどものカードを読むべきだろうと思いました。こどもとしてのふたりがどのような状況にあったのか。
こどものカードの頭の上には家のカード。
家の中にいる、まだ家の外に出る力のない、家族の力の下から離れられないこどもです。
こどものカードの下にはネズミがあります。何かにエネルギーを消耗し、苦しんでいて、そのことを表に出せないこどもです。
ネズミのカードがこどもの下に出たのは、なんだかとてもうなずける配置です。
こどもが見ているのは「道」のカード。道の上には指輪のカードがあります。
私はこの、道を見つめているこどもの姿にとても哀しみを感じました。
指輪の下にある道は、約束された未来です。
こどもが大人になったらこんなふうになってほしい、という親が、社会が望む未来です。
そんな未来には自分は向かうことはできないと気づいた苦しみを、こどもは隠しています。

ハート

ハートのカードも、どうしても読まなくてはならないカードであると思いました。
ハートが恋愛とか愛する何かであるととらえると、小学生のこどもとは思えない、哀しさと真剣さを持つハートの姿だと思います。
ハートの上に魚のカードがあります。今まで魚のカードはお金と読んでいましたが、これはお金ではない。魚のカードは、泳いでいる魚の姿から、自由であると読む場合もあります。
これぞ「自由」の意味で魚のカードが出てきた!と思いました。
自由になりたい、自由でありたい、と渇望しているハートの姿が現れました。
魚=自由のカードの右側には鞭。自由は鞭というルール、躾に拘束されています。
ハートの右には鎌があり、鎌の下には十字架があります。
十字架は、家族でしょうか。あるいは道徳的な規範かもしれません。
ハートを守るためには、家族や規範を切り捨てるようなことが必要と読みました。
ハートの下には百合があります。セクシャリティに関わる恋愛であるということです。
「25時、赤坂で」のグランタブローでもハートのそばに百合が出ていましたが、大人のふたりのハートにはなかった救いを求めているような
哀しみが、小学生のふたりのハートにはあります。


以上映画「怪物」をテーマにしたグランタブローを読んでみました。
この映画の良さやきらめきを、ちがう形で再認識したように思います。
ご視聴ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?