記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

いつか枯れる、愛しい日常へ

映画「花束みたいな恋をした」を、ずっと見てみたいなと思ってたんです。

以前カルテットや大豆田とわ子〜を見たとき、端々のせりふ回しがこう、「理解ってる」感じがしてぞくぞく……いえ、みぞみぞしました。取るに足らないとされているけど、確かに頭のリソースを取られてるようなことが省略されずに映像になっていている感じ。それ自体がストーリーを大きく動かすわけじゃないけど、でもそんな些細なことが積み重なった日常が、ストーリーという大きな渦を生み出すんだろうな。実際、話の本筋よりもバイトの女の子の死んだ目とかそんなことばかり記憶に残ってます。

ただ、上記の作品はあくまで大人の物語で、社会的にまだまだおこちゃまな自分には刺さり切らないところもたくさんありました。それが!この!!『花束みたいな恋をした』は!!!麦くんと絹ちゃんが大人になっていくまでの日常をちょこっと覗かせてくれてるんですよぉ……需要と供給の一致……。


以下、映画の内容を含みます。

人は社会の中で生きるしかないから、学校を卒業して親からの援助がなくなったら、働いて社会的な立場を持たないと2人で生きていくことはできない。

でも人は変わってしまうから、最初は2人で生きるための手段だったとしても、働いて社会に晒されると、1人ずつ生きる時間が増える。「2人でいたい」でずっといられるわけじゃない。現に麦くんが語っていた「現状維持」という目標は、「家族の将来設計」に変わっていった。でもそれを非難することはできない。変わるのが人だから。

だから、「2人でいたい」からお互いを解放してあげるための「別れる」という選択はすごく希望が持てるものだと思った。

というか、なんで恋愛って「付き合う」「別れる」しかないんですかね。縛りがあるから契約として成立するってことだと頭では分かるんですが……分かるんですが……。せっかく好意を向け合っているのに、なんだってそんな終わりに向かって走っていくような形態の契約しかないのかなあ。自分のセクシュアリティ観の話をし出すと長くなりそうなので黙ります。

ついでに余談ですが、自分は映画でも小説でもゲームでも、自分で触れる前にレビューをたくさん見ます。なんならネタバレも踏みに行きます。レビューの評価が良くても悪くても、やっぱり見たい!と思ったものを選ぶと自分の好みを外す確率が格段に下がるので。

で、今回の映画は知名度に比べて案外レビューの声が冷ややかで、あれっと思いはしたものの、脚本の方にどうしても惹かれたのでTSUTAYAで借りてきました。見終わったあと、この映画を観た人にはきっと大人もたくさんいて、大人から見たら青臭過ぎて見れたもんじゃない場面のオンパレードだったんじゃないかと。

この映画を薄目でしか観れなくなる日が来ることに怯えつつ、そんな人間にはなりたくないーなんて青臭く思いつつ、今日は髪を切りに行こうと思います。日常は続く。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?