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Stereolab / Space Age Bachelor Pad Music

今回は90年代の作品です。最近のような、だいぶ昔のような...

ステレオラブを初めて聴いたのは、セカンドアルバムの『Transient Random-Noise Bursts with Announcements』。当時よく足を運んでいた福岡市内のCDショップで、「ジャケ買い」しました。結構マニアックなアルバムなのに、よくぞ日本盤が出てたなぁ~、と今にして思います。

音を聴いてみて、率直な感想は「よく分かんないけど不思議なバンド」。ノイジーなキーボードが耳に残るサウンドと、繰り返しの多い曲調。そして、私でもわかるレベルに訛った英語のボーカル。

(ちなみに「ジャケ買い」したのは、左上のジャケットのアルバム)

後になって、彼らがモーグやメロトロンを多用し、クラウトロックの影響を受け、ボーカルの女性はフランス人ということを知ると、すべて納得なのですが、そんなこと、当時は知る由もなく。

ただ、当時よく聴いていたバンドたちとは明らかに違う「何か」があって、車の中でずーっと流していたのを思い出します。

お気に入りの作品があると、そのミュージシャンの他のアルバムも聴いてみたくなるもの。福岡市内の輸入盤店で探して手に取ったのが、『Space Age Bachelor Pad Music』でした。

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(「Bachelor」のスペルが間違っているのは置いといて...)

この作品は30分弱のミニアルバムで、発売は先述のセカンドアルバムの半年ほど前なのですが、トンガリ具合はこちらの方が上でしょう。

2曲目(タイトル曲)はキーボードのソロ。朝、車に乗って、最初に聴く1曲にしていました。

6曲目は、曲調はポップですが、幾重にも重ねられたキーボードの音と、フワフワとしたボーカル&コーラスが、独特の世界観を醸し出しています。

この作品が発表されたのは1993年。今のように、ネットでググればありとあらゆる情報が入手できる時代ではなかったので、音楽雑誌を何冊も読んで、ステレオラブについて書かれていないか、調べたのを覚えています。

そうして分かったのが、彼らのマニアックなリリース形態。すでにCDの時代になっていたにもかかわらず、多くのシングルやEPを、数量限定のアナログレコードで発表しています。まさに「時代遅れ」!

それらの音源は、後になってコンピレーションCDに収録され、アナログプレイヤーを持っていなくても聴くことは可能となりますが、「レコードショップで探して手に入れる楽しみ」を共有してほしいという、彼らなりのメッセージなのだろうと思います。

そういう点では、私とステレオラブの出会いの過程も、ちょっとだけ似ているように思います。

今や、音楽をパッケージで入手する方が少数派となり、部屋に居ながらにして、世界中の音楽を聴くことが可能となっています。それはそれで素晴らしいことだと思います。(特に、今は外出自粛の状況ですし)

ただ、情報にも物流にも制約がある中で「何か面白い音楽はないだろうか」と必死になって探していた、そんな不便な時代だったからこそ味わうことが出来た楽しみというものが、絶対にあったように思います。まあ、これこそが究極の『時代遅れ』ですけど(笑)。

元はと言えば、『Space Age Bachelor Pad Music』と言うタイトル自体も、50年代~60年代初頭のイージーリスニングやラウンジミュージックを示すジャンルからの引用ですし、私の中では、ステレオラブは『時代遅れの大先輩』として一方的に尊敬しています。

その後のステレオラブは、サードアルバムからのシングル「Ping Pong」がヒットし、知名度が高まります。

以降も、商業的には成功を収めたと言えないながらも、実験的な作品をリリースしていきますが、2002年にメンバーのメアリー・ハンセンが交通事故死という悲しい出来事が起こります。その後も活動を続けますが、2009年に活動を休止。

その後のことは知らなかったのですが、2019年から活動を再開したとのこと。今の時代に合わせて何か変わったのか、それとも相変わらず『時代遅れ』のままなのか、気になるところです。


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