354: Inspiral Carpets / This Is How It Feels

80年代の終わりから90年代初頭の「マッドチェスター」ムーヴメントでは、マンチェスター近郊出身のバンドが多数のヒット曲を送り込みましたが、その中心には、ザ・ストーン・ローゼス、ハッピー・マンデーズと並んで、このバンドもいました。
インスパイラル・カーペッツのサウンドは、キーボードを多用したサウンドに特徴がありました。そういう意味では、この曲こそ代表曲としてふさわしいのかも知れません。
1990年リリースの1stアルバム『ライフ』収録のこの曲は、シングルカットされ、UK14位のヒットを記録しています。
同じ「ダンサブル」なサウンドでも、ザ・ストーン・ローゼスの様なギター・バンド・サウンドではなく、キーボードを中心とした音作りのアプローチは、当時大学生だった私にとって、バンド・サウンドを考えるうえで、大変勉強になった記憶があります。
そして、当時は「熱さ」がロックだと思っていたのですが、逆に「クールさ」こそが重要なんだと気づかされたのがこのバンドでした。
このバンドを聴いていなかったら、例えば、ザ・クラッシュのパンクロックの本質は、徹底的に「覚めている」ということにも気づかなかったかもしれません。
そういう意味で、このバンドの存在は、自分の音楽観に大きな影響を与えたと思って居ます。
まあ、そういう蘊蓄抜きに、この曲は美しいメロディだと思います。

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