超短編 数年後の街の風景
街クジラたちが空を泳いでいる。
そういう風景を見るのにも慣れた。
まさか、クジラが空を飛ぶようになるとは。
風の色を映した、美しいクジラを見上げながら人々は思った。
街クジラは人や物を運んでいる。
数年前までの、バスやタクシーや宅配便のような役割を果たしている。
自動運転のめざましい進展によって、街クジラは生まれた。
小さな街クジラが近づいて来た。
12時12分12秒。
指定時間通りだ。
窓辺でランチを受け取った私は、慎重に蓋を開けた。
気をつけないと、中身が飛び出してし