とぶ。そらを。わたしは。

飛行機の思い出といえば、やはり初搭乗ではないでしょうか。人生において初めて地から足が離れ、空を飛び、高速で移動すること。(座っている状態で高速で移動している姿はなんだか面白いですよね。)
私が初めて飛行機に乗ったのは小学四年生の頃でした。国内の旅行でした。父の隣に座りましたが、当時の私は飛行機を恐れ、父の腕をこれでもかと力いっぱい握りしめていたことを記憶しています。離陸する瞬間はジェットコースターのような、内臓が重力に逆らう感じがしました。
(脱線しますが、ジェットコースターの山場である頂上からの落下って、逃げられない恐怖が強いですよね。この場から逃げられないことが怖いと思っています。)
そういえば私は、離陸の際のアナウンスで初めて「離陸」という言葉を聞いたのですが、離陸とは陸から離れるということを意味するのだと自分で気づき感動した記憶があります。
飛んでしまえばこちらのものです。雲を超えたとき、私は雲の上が晴れ渡っていることを初めて知りました。考えてみれば当然なのですが、地上がどんなに曇っていても空の上はこんなに晴れ渡っていたのか、と安心しました。
しかし不安もありました。雲の上にいるというのに天国がどこにもないではないか。小学四年生の私は、仏様が雲の上におられる絵をよく見ていて、雲の上=天界のようなものだと認識していたのです。しかしそこには青空と何にも遮られない太陽しかなく、がっかりした気持ちになりました。父にも、天国が無いと抗議しましたが、もっと上にあるんだよ、と教えられました。しかし私は納得がいかなかったのです。だって雲の上が天界で、その上は宇宙しかないでは無いか、天界は宇宙では無い。上陸するまで悶々と考えていましたが答えは出ませんでした。

未だ答えは出ていません。天国など、極楽などないと言われてしまえばそれまでですが。
また少しだけ飛行機に乗りたくなりました。

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