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熱中症は温暖化だけではない社会問題

熱中症には大きく分けて二種類ある

熱中症は、熱中症になる前に体を動かしたか否かで2種類に分けられます。

労作性熱中症

スポーツや肉体労働をしたことによって起こります。

非労作性熱中症(古典的熱中症)

体をあまり動かさずになってしまう熱中症です。

問題は非労作性熱中症

労作性の熱中症は、一時的な症状のことが多いのです。
「もともと健康な人が暑い中がんばった結果、体調不良になってしまった」レベルで、あまり大きな問題にならないことが多いとされています。労作性の熱中症は若年から中年に多く圧倒的に男性に多いタイプの熱中症です。

これに対して、非労作性、つまり「体を動かしていないのに熱中症になってしまった」というのは大きな問題です。
非労作性の熱中症は、体を動かさないわけですから、屋内で発生することも多く、数日以上かかって徐々に悪化します。そして、もともと病気を持っている人が多いのがこのタイプの熱中症です。具体的には、心疾患や糖尿病、 脳卒中 後遺症、認知症などの基礎疾患です。

なぜ非労作性熱中症が起こるのか

独居や高齢の老夫婦だけ暮らしている方々は、ハイリスクであるにもかかわらず、見守りが行き届かない状況にあります。
年齢を重ねると暑さを感じずに寒がりになりがちです。そして喉が乾いたという感覚も鈍っていることがあります。
そうした状況では、今のような酷暑の毎日でもエアコンを入れることなく過ごし、それを指摘する人が回りにいないという状態になっています。精神疾患や認知症などの場合、行政やご近所も介入することが難しいケースもあるでしょう。孤立が深まり、熱中症のリスクも深まっていきます。
熱中症というのは、地球温暖化だけが原因ではなく現代の孤立や貧困問題と深く関係しているのです。

参考)三宅康史編著「現場で使う!! 熱中症ポケットマニュアル」中外医学社、2019


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