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認知症とタバコ


タバコは健康によくない
認知症にも?

タバコが健康に良くないことはもはや常識と言っていいでしょう。記事のタイトルからして、読まなくても「タバコが認知症に悪影響を及ぼすのでは?」ということが想像できるのではないでしょうか。ご想像どおりです。2023年現在までの研究で、タバコは認知症の原因になり、進行を早めることが分かっています。

65歳以上の人がタバコを吸うことは
認知症のリスクになる

認知症ではない平均年齢72歳(年齢の範囲は65~84歳)の高齢者の人々を17年間調査した日本の研究では、中年期以降にタバコを吸っていた人は、吸っていない人に比べてアルツハイマー病になるリスクがタバコを吸っていない人に比べて1.98倍、血管性の認知症になるリスクが2.88倍高いという結果が出ました1)。

65歳未満の人もタバコを吸うことは
認知症のリスクになる

上と同じ日本の研究で、昔タバコを吸っていたという人々(当時の平均年齢57歳)が、その後に認知症になっているかを調査したところ、全ての認知症のリスクは吸っていなかった人の2.07倍、血管性の認知症のリスクは2.55倍にもなることが分かりました1)。65歳未満でもタバコを吸うことは認知症につながるということが、日本人の大規模な研究で分かっています。

受動喫煙は?

50代~60代の女性を対象にした研究では、副流煙を吸ってしまう環境にいることと記憶力が低下することに関連していました。この研究では、副流煙を吸ってしまう環境にいる期間が長いほどに記憶力低下のリスクは高まるという結果も出ています2)。
ただし、このような「副流煙が認知症に悪影響を及ぼすかどうか」を検討した研究というのはあまりありません。現状で「受動喫煙は認知症の可能性を高める」とまでは言えないようです。

実は今からでも遅くない
認知症予防に禁煙のススメ

先ほどの研究では、晩年になってタバコをやめた人は、そもそも吸っていない人と認知症になるリスクの明確な差がなかったという結果もあります1)。
また、海外の大規模なデータでも、60歳以上で4年以上禁煙した人はそのまま吸い続けた人に比べて、その後の認知症になるリスクが大幅に減った、という結果があります3)。
つまり、「まだ認知症になっていない人は、今からでも禁煙する意味がある」ということです。
散々吸ってきたから今さら、とあきらめたり投げやりになることはないようです。さあ、今日からタバコとライターと灰皿を捨ててみてはいかがでしょうか。

1)Ohara T et al. J Am Geriatr Soc. 2015 ; 63(11):2332-9.
2)Pan X et al. Am J Epidemiol. 2018 ;187(5):911-918.
3)Choi D et al. Ann Clin Transl Neurol. 2018; 5: 1192-1199

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