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「長い道」宮﨑かづゑ著(みすず書房)

最近読み始めた本です。味わい深く、読み進めるのがもったいないくらいです。

著者は1928(昭和3)年生まれ。10歳で瀬戸内海に浮かぶ島、長島のハンセン病療養所長島愛生園(現・岡山県瀬戸内市)に入園、以来70年余をこの地で暮らす。22歳で寮友と結婚後は園内で働く夫を主婦として支え、様々な後遺症を持ちながら、家事と読書を楽しんで慎ましく暮らしてきた。
「本は親友だったけれども、自分が書くなんて思ってもみなかった」が、80歳を迎える頃から習いおぼえたワープロで少しずつ、瑞々しい文章を生みだしていく。
 家族の愛情に包まれて過ごした幼少期、発病によって故郷を離れ、孤児のような気持ちで過ごした少女時代。『モンテ・クリスト伯』を読みふけり、大海原に心遊ばせた十代。夫のために料理をし、ミシンを覚え裁縫に精出した日々。心の支えだった親友の最期。遠い道のりをいつまでも会いに来てくれた母への思い。
 故郷の暮らしを細やかに綴った「生まれた村で」、長島での日々を語る「島の七十年」親友の看取りの記「あの温かさがあったから生きてこれたんだよ」他を収録。
 著者の生き方と言葉に深くうたれ、交友がはじまった料理研究家・辰巳芳子さんとの対談「生きなければわからないこと」を巻末に付す。
      
(以上は、本の裏カバーより)

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