気持ちの吐露
これまでにも述べてきたと思うが、実は加害者は既婚者である。妻子持ちの社会的立場のある人間、それが加害者の肩書きだ。そんな人間が奥さん以外の女を押し倒した時点でもういろいろとアウトなのだが、その方向性で話をすると本筋とは逸れてしまうため割愛する。
私は相手の名前、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスに至るまで、様々なことを知っている。別になんということはない、それらを知ることができるほど親しくしていたということだ。少なくともお互いにそれなりの信頼関係はあったはずである。それがなぜこうなってしまったのか。
私は当時感覚が麻痺していた。仕事にもまともに行けないくらい精神的に衰弱していたし、解離性同一性障害による人格交代も激しい時期だった。人格も多く、日々の記憶はブツ切れで、誰とどんな話をしていたか、正直なところあまり思い出せない。ではなぜ被害のことはある程度覚えているのかと聞かれれば、それほど強烈な印象とダメージを残した記憶だったからである。その瞬間は被害に遭ったことに気づかずにいたが、内心は確かに傷ついていたのである。
ここでひとつ明確に示しておきたいことがあるのだが、私は加害者に恋愛感情は一切ない。人間的な好意はあっても、付き合いたいなどと思ったことはない。加害者にもそれははっきり伝えてあったし、加害者とどうこうなるのは嫌だとも意思表示していた。
そしてそれは向こうも同じで、本人は「下心を抱こうと思えば抱けるが、したくないから向けていない」とのことだった。今思うとこれは本当に下心が向いていなかったのかどうなのか疑問ではあるが。
自己肯定感が低く、男性の性欲が自分(私)に向くのがどういうことかわからなかった私だが、それは自分(の主に容姿)に自信がなかったためだとわかっていたし、恋愛の分野に属する話を加害者にどうこうするのは無理であると、私は予め伝えていた。
でもどうやら、加害者は「無理」と突っぱねられたことが悲しいらしかった。実際にそう言われた。でも無理なものは無理なのだから仕方ない。それは今後の人生で、私がもっと自分を大切にできる方法を知っていけばいいだけの話だったのだ。何も自己肯定感が落ち込んでいる時期に無理矢理わからせようとはしなくてもよかったはず。
このことからも、相手はただどうにか自分を正しいと思い込もうと言い訳をしているだけで、第三者が客観視したら正当性の欠片もないことが窺える。
チャットにて加害者は弁明のため、「治療者」としての枠組みを取って自分を見てほしいと言っていたが、自分を「治療者の立ち位置にいる」と称していたのは他でもない加害者本人である。
本人が自分で言ったのだ。「独学とはいえ病気のことを勉強して知識を身につけた。だから自分は今治療者の立ち位置であなた(私)と接している」と。私は当時からメンタルクリニックに罹っていたので、医師でもカウンセラーでもない人間が一体何を言っているのだろう?と妙に腹が立ったことは覚えている。プロでもない人間が治療者を名乗るなんて傲慢だな、と。加害者の自尊心を傷つけるのは気が引けて言えずじまいだったが。
証拠が不十分で立件はできないが、私から見れば加害者は立派な「性犯罪者」である。同意なく他人の身体を見たり触れたりした時点でこちらの尊厳は明らかに損なわれている。でも、相手にはその自覚がない。
まず、私に対する謝罪が嘘くさい。文面であるから仕方のない部分もあるのだろうが、なにかと「それは申し訳ない」「その点は反省している」などと、あくまで部分的な謝罪しかされていない。その反応を見て、私はまだ加害者に犯罪者である自覚が足りないと感じた。
次に、性被害を軽んじている点。ひとつ前の記事に書いたことと重複してしまうが、性被害に関しては起こった出来事が全てであるのに対し、加害者はそこに至る経緯であったり理由であったりを重要視している。そんなものは下心に他ならない。
どんなに立派な大義名分を掲げていたとしても、結局手を出したのは加害者なのだから行動の根っこはただの下心だ。ゴタゴタと御託を並べて被害者面をし、それを自覚していない。
最後に、私の意図を汲まない。いや、自己防衛本能が働いて汲めないのかもしれない。だとしても、私が訴えていることにはある程度筋が通っているはずなのに、向こうは私の言葉を上澄みだけ見て、ニュアンスの違う言葉に置き換えて見当違いの指摘をしてくる。私のしていない話を持ち出してくる。相手は私のことを揚げ足取りだと非難してきたが、こちらから言わせればそれは加害者の方である。
何より、加害者が被害者にできることなんて「今後一生被害者の人生に関与しない」ことくらいしかないのは少し考えればわかるのに、一向にその考えに辿り着かず、こちらの気持ちを理解しようとしない。それは再犯に繋がる可能性が高いので、私は悪質であると判断した。
私から言うことは簡単だが、自分でそれに辿り着かなければ意味がない。でもどれだけ相手に訴えかけても暖簾に腕押し状態で埒が開かないので、これに関しては警察を介して要求することにした。
だが私が思うに、相手はまだ私が許してくれると思っているように感じている。謝ればまた笑って許してくれるだろうと、そういった甘い考えが透けて見える。だから私は余計に加害者が許せない。それに、ここで私が許してしまったら、加害者はまた私のような後輩に同じような性加害をするかもしれない。
それは私が防がねばならない。
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