見出し画像

花粉症と筋肉痛

 4月になり、目に見えない花粉が目に見える形で体に悪影響を与える。

 3、4年前は4月になると目が痒くなったり、くしゃみが出たりすることがあっても「いや、風邪気味かな」と周りに説明しながら自分を偽ってきた。
 しかしながら最近は自分を偽ることを諦めて「これは花粉症の症状だ」と認めるようになった。

 朝起きるとまず鼻声だし、鼻水は出るし、目ヤニは酷いし、ベランダに出るとくしゃみが激しい。全くもって大変な症状だ。

 戦後の政策で山にたくさんの杉の木を植えたことが日本人に花粉症が多い原因の一つらしい。ならこれは「公害なのでは?」と思ってしまう気持ちもあるのだが、決して認めないだろうし、僕のような症状の診断がついていない人まで保証してくれるものではない。そういう諦めもついているのかもしれない。
 
 最近、体が鈍りきっているので筋トレをしている。ジムに通うとかランニングをするとかではなく、腕立て伏せをしたり腹筋ローラーを使ったり、握力を鍛えるボール状のものを使って部屋の中でできる筋トレを粛々としている。効果があるのかはわからないが「俺、筋トレして健康に気を遣っている」という気持ちが自分の心を前向きにさせる。これで良いと思っているし続けることに意味があるのだから。

 慣れてしまえば大丈夫なのだがそれまでは筋肉痛に悩まされる。散歩が好きなので下半身に筋肉痛というものは感じないが腕や腹は否応になく痛い。
 しかも今は4月だ。花粉が鼻に悪さをする。

 今日も散歩をしていた。もう屋外ではマスクを付けずにいるので、暖かな陽気の下、河川敷で花見をしている親子連れを微笑ましく見てはいるのだがその目は痒くて痒くて敵わない。深呼吸をしてみると鼻がムズムズとしてきた。「あ、くしゃみか」と思うのと同時に本能的に体を庇おうとする。このままくしゃみをすると腹部に激しい痛みがくると。
 しかしそんなものは徒労に終わる、鼻を突く刺激をそのままに口から思い切り吐き出す。それと同時に痛み出す腹。
 「うぅ」と道端で呻く人間が異常だと思われるのだろう、こちらを一瞥しながら通り過ぎていく人、人、人。こちらもそんな姿を見られるのは恥ずかしいので、痛みが引いた瞬間にいつもの表情に戻り、素知らぬ顔で通り過ぎる。

くしゃみは思ったよりも腹筋を使う。くしゃみをする度に筋肉痛の腹筋が痛む。何故このタイミングで筋トレを始めようと思ったのか、自分で自分が恨めしい。

 普段気にも留めない「くしゃみは腹筋を使う」というのを痛みで持って体感することができるのは良いことではあると思う。

 花粉が落ち着くのが先か、筋肉痛が治るのが先か、勝負である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?