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中国不動産王の落日 恒大会長许家印堕落:末路に至るドラマ (下編)

多角化戦略の失敗


優れた実業家にとって、成功の鍵は

  • チャンスをつかむことではなく、誘惑を断つこと、

  • 何をするより何をしないこと

が重要です。恒大は多角化の罠に陥り、その後の崩壊につながる要因となっている。

许家印は野心的なビジネスマンであることが広く知られている。

恒大FC、AFC何度も優勝したサッカークラブ

恒大FC(サッカークラブ)のオーナーになる以外にも、恒大の多角化事業を急拡大させ、消費財、金融、ヘルスケア、文化観光、新エネルギー車など新産業に参入して、迅速に大規模な投資を行い、短期間で市場を席巻した。恒大FC、恒大冷泉、恒大自動車などがその例です。

しかし、どの産業にも競争が激しいので、不動産事業の強化の代わりに他の領域に進出し、最終的に不動産事業は速やかに衰退した。

独断のワンマン経営


2018年、経営顧問の任泽平は、许に対し『債務の削減・多角化をやめる』の反対意見を何度も提案したが、许が却下した。
2021年3月の年次業績発表会は、许はこのように述べた:


恒大が不動産だけでなく、恒大自動車、恒大プロパティ、恒腾ネットワーク、フアンチェ宝、恒大童世界、大健康産業、恒大冷泉を含む8つの多角化事業を持っていて、将来、すべての多角化ビジネスが上場にさせる。


2年後の現在、恒大が債務危機に陥ったため、恒大冷泉は売却され、ほかの事業いずれも上場しなかった。

新エネルギー車

「恒馳5」の販売予約発表会

多角化ビジネスの中で、许家印が最も執念深く、最も多くの資金を投入したのは新エネルギー車です。不動産業務が停滞した後、自身と恒大の未来をすべて新エネルギー車産業に賭けました。

2018年に新エネルギー車業界に参入、投資額は少なくとも474億元を超える。
しかし、高額の投資にもかかわらず、2020年から2022年まで3年間、恒大自動車は累計916.73億元の損失計上、納車台数わずか1000台。

恒大自動車は既に巨額の債務を抱えており、再び许からの資本「輸血」を期待することは難しい。

最終の崩壊

高い負債モデルに依存し、規模拡大と多角化を盲目的に進めてきた恒大グループは、最終的には深淵に転落した。

支援を求める手紙

恒大の危機は、一通の手紙で初めて明らかになりました。
2020年9月、恒大A株再上場の期限がわずか4か月を切る中で、1,300億株の転換社債があった危機的な状況から、『恒大による重要な資産再編の支援を求める報告書』と題された救助の手紙が流出した。

手紙には、2021年1月31日までに恒大がA株市場に再上場できない場合、会社が資本金を出資した投資家に弁済を求めないようにという要請が盛り込まれた。
当時、恒大はこれを噂として否定したが、今では事実であると考えられてる。

この劇的な出来事が起きた後、恒大は2020年11月にA株再上場計画を中止し、でも1,200億元を超える資本金を出資したほぼ全ての戦略投資家が恒大不動産の株式を継続的に保有することに同意した。
言い換えれば、上場基準に満たされなくても、戦略投資家たちは恒大に返済を求めないということだ。
交渉に成功した後、当時、外部では许家印が再びこの危機を乗り越えたと考えた。

融資規制による流動性危機


しかし、当局の「3本の赤い線」の融資規制が進展する中で、不動産業界の融資は継続的に制約を受け、2021年6月、商業手形の支払問題で恒大の債務リスクを顕著化にした。

当時、许家印は供給業者に対して支払期限を守ると誓ったが、
銀行は自己保身の措置を取りました。
2021年7月19日、広発銀行は恒大の資産、約13.2億元を凍結。当日、恒大の株式と債券は大幅に下落し、恒大の債務危機の幕開けとなった。

その後、一連のネガティブなニュースが恒大の流動性危機を悪化させ、恒大は2021年8月の半期報告書で、供給業者への支払いの遅れや一部のプロジェクトの中止が発生していることを認めた。

许家印も業績発表会の開催中止した。

2021年下半期以降、恒大は各地でプロジェクトの中止、金融商品の延期償還、米ドル建て債券のデフォルトなどが相次ぎ、恒大の流動性問題がますます深刻になっていた。
本来は2022年に1兆元の売上規模を目指していた不動産企業は急速に谷底たにそこに落ちました。

许家印の個人の富


ブランド品を身につけた许は中国ネット民の嘲笑う対象になったことある


恒大が資金繰り泥沼に陥ると、许は個人資産を売却するしかなくなりました。
公開情報によれば、许と家族はここ数年恒大から得た収益が株式と債券の収益だけで5000億元を超えており、そして公には明らかにされていない資産も大量持ってることは明白だ。
恒大の情報によれば、


2021年7月1日から2021年11月16日までの間に、许家印は恒大の危機を救うために70億元の現金を提供し、彼の個人資産を抵当に入れ、香港の別荘を売却し、私有飛行機を売却し、深センベイ・ワンと広州珠江新城にある住宅も販売した。
2022年7月17日、中国恒大は過去のすべての業績報告書を再発行し、二つ大きな事業会社の純損失は4,760.35億元と1,059.14億元です。

恒大の情報筋


対照的に、以前『栄光の十年間』とされていた2013年から2020年まで、中国恒大の10年間累計純利益は約2,352億元にすぎませんでした。

帝国はたった2年で崩れ去った

中国恒大は現在、債務不履行の状況に直面しており

2022年末時点で

  • 総負債は約2.44兆元。

契約に基づく負債を除くと7,210.2億元、その内訳は借金が6,123.9億元、取引債務が約10,022.6億元(工事資材料の支払いを含む)、その他の負債が約1,017.4億元。

  • 総資産は約1.84兆元。

  • 純資産は約-5,991億元。

  • キャッシュ

    • 現金および現金同等物、制約された現金の総額は約143.05億元しか残ってない。

つまり、たった2年間で、许家印が築いた帝国は一瞬で崩れ去り、多くの購入者、サプライヤー、債権者などが説明を求められる状況となってる。

境外債


恒大は境外債の総額は190億ドルを超える。恒大不動産が中国証券規制委員会によって調査対象となったことにより、恒大は境外で新しい債券を発行する資格を奪われた。

住宅開発プロジェクトはどうなる?


巨額の債務に直面している中国恒大は、今後も開発停止の住宅問題も大きい。購入済みの何千何万の一般庶民家庭にいつ明け渡せるか?状況不明のままにしたら、経済だけでなく、社会面の不安定要因になっている。
(完)



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