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40代で大学生になった #8

卒論書けない

かくして、私は卒論にとりかかった。
イケメン先生に、褒められてもらえないまでも
笑われない程度のものを書こうと思っていた。

3日間の夏期スクーリングがあったので
滞在を1週間にのばし、スクーリング後は
大学の図書館に通うことにしたのだ。
卒論のためだからと家をあけているので、居酒屋にもバルにも行かず
ホテルと大学図書館の往復に明け暮れた。
夏休み中の図書館に学生の姿はまばらで
貸し切りの図書館で資料を探し、コピーを取りまくった。

1週間後、東京から戻り生活は平常運転に戻ったが
仕事帰りには、近くの図書館に寄ることが多くなった。
しかし、卒論を書き始める糸口は、なかなか見つからない。
ん?これはもしかしたら新らしい視点かもしれないぞ。
などと喜んだその直後、すでに著名な文学者が指摘している
論文を読んでいたりする。ということの繰り返し。

中間報告

そうこうしているうちに、中間報告をしなければならなくなった。
何も書けていない、に等しい状態。
わけのわからない箇条書きの論点と
書き始めの部分をお見せすることに・・・
イケメン先生から
・論点がわかりにくい
・エッセイではないのだよ
という心優しいご指導があった。

ほめられたい⇒笑われない程度⇒完成すればいい

締切まで1か月を切った。
最初は、ほめられたいと思っていたのに
笑われない程度のものが書ければいい、と控えめになり
そのうちに、とにかく完成して提出すればいい
と限りなく弱気になった。
時は刻々と過ぎていくが、完成する気配どころか
全くといっていいほど書けなかった。

焦り

そのうちに、夜、眠れなくなった。
私は、もともと夜が弱いので、なるべく早く就寝して
朝早く起きて読んだり書いたりという生活をしていたが
何時に寝ても、2時間ごと、ひどい時には30分ごとに
目が覚めてしまうという状態になった。
眠らなけらば、翌日の仕事に差し支える。
眠らなければ、頭が働かず卒論も書けない。
焦り、追い詰められている感に襲われて
短い睡眠の中で頻繁に夢を見た。

卒論が書けないよ~というのは、時々聞く話ではある。
そうは言っても、実際は何とか書き上げている人の方が
圧倒的に多いのだろうとも思う。
でも、もしかしたら本当に書けないかも。

マジで書けなかったらどうしよう~
真夜中に、がばっと起き上がり途方に暮れていた。

次回につづく


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