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私がイッキ読みした本②『君の膵臓をたべたい』


住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』。
今回はネタバレが多数あるので、ご容赦ください。
ネタバレ許さない!という方は、どうかスルーしてください。

はじめに

大学生の時に、本屋大賞のコーナーで見かけて、
装画のイラストが好みで、タイトルに強烈に引かれて購入し、その日のうちに読み終えました。

読む前は、まず「膵臓をたべたいってどういう意味?」「膵臓ってそもそもなんだっけ?」という疑問がいっぱいでしたが、読み終えた時には軽く放心状態で、顔は涙でぐちょぐちょ。
色んな感情が溢れてきて一度ではタイトルの意味が分からなかったので、2回、3回と読んで、やっとタイトルの意味が理解出来たように思います。
ちなみに今回で5回目(確か...)で、今まで読んできた作品の中で一番読み返している作品だと思います。

夢中になったポイント① 主人公の名前

この作品では、最後の最後まで主人公の「僕」の名前が伏せられていて、こんなに主人公の名前が伏せられている作品は初めてで驚きました。
作品中では、【秘密を知ってるクラスメイト】くん、【根暗そうなクラスメイト】くん、【仲良し】くん、【?????】くん、と、他の作品では見たことの無い主人公の表現方法で、【】内の表現から、「僕」とほかの登場人物との関係性がわかるるようになっていて、特に「僕」と桜良との関係の変化が名前の表現で分かるのは面白いなぁと思いました。
また作品中で「僕」が、名前を出さないで、とヒロインの桜良(さくら)に言っているので、それに則ってるんだと思いました。
さらに伏線として、「僕」が名前を紹介した時に「そんな小説家いるわよね?」と言われ、「ええ、どちらのことを言ってるのか分かりませんが」と答えているので、どの小説家を指してるのか考えながら読み進めるのも、面白かったです。

夢中になったポイント② 「僕」と桜良の関係性

クラスで誰とも話そうとしない地味で根暗な「僕」と、クラスで人気者の桜良。桜良の秘密を知ったことで、「僕」は桜良と関わるようになりましたが、もし私が桜良だったら、こんなきっかけでもないと「僕」と関わろうとは思わないなぁと思いました。
秘密の内容がどうあれ、桜良は「僕」が秘密を受け止め、普段と変わりなく接してくれることで、気を遣うことなく素で言いたいことがいえるし、甘えることが出来ます。
私も病気で入院したことがありますが、心配してくれたり、気を遣ってくれたりするのはありがたいけど、今まで通り接してほしいし、過度な親切や悲しい表情は自分ももっとしんどくなるので、いつも通り、普段通りの日常を与えてくれる「僕」は、桜良にとっては唯一無二の存在だったんだろうと思います。

一方「僕」は、正反対の桜良に対して自分とは違う人間だと思いつつも、桜良の言動に納得したり、凄いと尊敬したりする部分が出てきて、桜良のようにもっと周りの人と話をしたり、友達を作ったり、関わろうとするようになります。これは今までの「僕」とは真逆で、桜良から大きな影響を受けて変わろうとしていて、「僕」にとって桜良の存在はかなり大きなものになったんだと思います。

お互い正反対だけど、正反対だから自分に無いものを持っていて尊敬するし、秘密を共有しているから、素で接することが出来るし、冗談も言えるし、相手をおもって言動できる。

私は人見知りをしたり、自分のことを積極的に話したりしないので、軽口叩けるぐらい仲良くなって、素の自分をさらけ出せる関係は貴重だなと思うし、この友達でも恋人でもない、秘密の共有をしたからこその2人の関係性は、互いに想い合えることが出来て補い合える、素敵な関係性だなと思いました。
秘密の共有でこんな関係になれるなら、単純ですが、秘密の共有も悪くないなと思いました。

とはいえ「僕」と桜良の場合、共有した秘密が死に関わることで、一緒にいられる時間に限りがあるので、ずっと2人の関係や変化を見ていきたかったなと切なくなりました。
でもそうはならないから、物語は面白いし、命も日々の一日もかけがえのないものだと感じます。

夢中になったポイント③ タイトルの意味

私が思うに、タイトルの「君の膵臓をたべたい」とは「君に憧れている」「君になりたい」という意味だと思いました。作品中にも同様な文章がありますが、君は私には無いものを持っていて、尊敬できる凄い人だがら、私も君みたいになりたい、というような。
加えて尊敬や憧れだけじゃなく、君に好意を抱いているから、慕っているからという恋愛感情も含まれていると思います。
ただ好きなだけじゃなく、君を理解して、自分にはない凄いところを君は持っているから憧れるし、もっと知りたくなる。そんな好意を相手に抱くのも、相手から抱かれるのも、羨ましいし素敵だなぁと思うし、互いにその言葉を贈り合うのはため息が出るほど尊いなぁと思いました。

以上、感想文でした!
感想文を書こうと思って、再読して、実写化映画も見直して、案の定両方ボロボロに泣きました...。
自分の死生観について間違いなく大きな影響を与えてくれた作品で、桜良の言うように一日の価値は誰もが一緒だと思うので、今日も明日も大切に生きようと思います。

ぜひご一読いただいて、読む際にはイッキ読みをおすすめします!


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