見出し画像

サヨナラバス

最近とあるMVをみて、高校の頃好きだった人のことを思いだした。

そのMVに出ていた人は韓国のアイドルグループEXOのメンバー、ドギョンスさんである。
爽やかで優しそうで且つ凛々しい顔立ちの方。

アースカラーの服をまとい、にこやかに話す彼をずっとみていたら、突然学生時代の好きだったその人が頭に浮かんだ。不思議で懐かしい気持ち。顔はあまり似てないけど、なんだろう、、背格好や雰囲気が似ていた。

私たちは同い年で、別々の高校に通っていた。
出会いはバス停。
お互いバス通学で、帰り道が同じ方向だった。

共通の友達がいてその子が紹介してくれてバス停で会えば話すような仲になった。

私の中では異例の事態だった。クラスの男達とはろくに話さないし、会話も思いつかなかった。仲の良い女友達と騒いでふざけ合ってるほうが大切で楽しい、そんな感じだったからだ。

当時わたしは携帯電話を持っていたけど、彼は珍しく持っていなかった。だから連絡手段がなくて、バスでたまたま会えた時だけが、唯一の会話できる機会だった。降りる停留所が違うのでせいぜい30分程度の時間。ある時は長く感じたりとても短く感じたり、でもいつも少しドキドキしていた。


部活のこと、勉強のこと、進路のこと、色々話したし、勉強ができる人だったので数学を教えてもらったりもした。彼は穏やかで優しくて、居心地の良い時間だった。
私は付き合うとかそれ以上の関係を望んでいなかったし、受験生で忙しくしていたし、向こうもそんな感じだった。

というか、人を好きになることがどういうことなのかよく分かっていなかった。その好きかもしれない気持ちはフワフワしていて楽しいものだった。居心地のいい時間や関係を壊したくなかった。

バス停で彼の姿を見つけるといつも嬉しくて、少しでも可愛い自分でありたい良く見せたい、と思ったのは確かだった。

そんな出会いから半年ほどが経ち、いつの間にか冬服に包まれ、卒業シーズンを迎えた。
寒い日だった。久しぶりに帰りのバスで彼に会った。今日のバスが本当に最後かもしれないと思ったら、急に寂しくなってきた。
『東京に行ってもがんばってね。帰ってきたら遊ぼう』「うん!○○くんもね」
そんな会話をした気がする。
連絡先も知らないのに?どうやって?
と思ったけど飲み込んでそう答えた。キミもどうか元気で、とバスから手を振った。そして彼も振り向いて手を振ってくれた。
3月、無事に高校を卒業し、それぞれ地元を離れた。


月日は流れ19歳夏、奇跡的に一度会えた。
地元に同じタイミングで帰省していた。
みんなで花火をみて笑いあった。
何も起こらずにまたそれぞれの地へ帰った。
それが最後。

私の恋みたいなきれいな思い出。
20年以上経ってるから多少美化されているかもしれないけれど、、、
嫉妬や執着のない、透明に近い感情。
後にも先にもない気がするな。
元気でやっているかな、今も幸せに過ごしていますように。。

このまま年を重ねたら忘れると思って何となく
記録。読んでくださった方、ありがとうございます。


それでは最後に聴いてください、
ゆずで サヨナラバス。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?