読書感想文 : アーモンド
最近【アーモンド】という本を読んで面白かったので感想を少し。
2020年の本屋大賞を受賞した本作品、
BTSのメンバーが読んでいた、という理由で手に取った。久しぶりに読む韓国文学。
脳の中にある扁桃体という臓器が人よりも小さく、”感情”が分からない少年ユンジェの成長物語。
ストーリーはなかなかエキセントリック、というか衝撃的な内容。特にラストにかけては怒涛の展開で、ページをめくる手が止まらなかった。
失感情症の少年ユンジェに降りかかる事件を通して、彼を囲む家族、友人との関わり方や社会について考えさせられる。
ユンジェには感情がないため、相手の気持ちを察したり危険を察知したりすることが出来ない。本音と建前のうち本音しか存在していないから、ピュアでストレート。代わりに観察力と洞察力が優れている。
愛情いっぱいに育てられたが、途中で大切な家族が目の前から消えてしまったユンジェ、誰からも愛されずに育った一匹狼で、感じやすくて傷つきやすいゴニ。
正反対の2人に友情が芽生えていく過程がとても素敵。ふたりが親交を深めていく場所が古本屋さんというところも良い。
高校の同級生、ゴニやドラとの出会いで変わっていく、成長していくユンジェの姿が良かった。ゴニにとってもユンジェが必要だったし、2人は出会うべくして出会ったんだなぁ、と最後は温かい気持ちに。
彼らと同世代もしくはその少し上くらいの年代の人たちに特に響くお話ではないかなと思う。
「人間を人間にするのも、怪物にするのも愛」
これはあとがきに書かれていた作者の言葉。心に残った一言だった。
「愛」って何だろう。一言で言い表わせるほど考え消化したり理解したりできていないけど、自分より大切にしたい気持ち、を含むことは確かだと思う。
子育てもそうだけど、人間関係を作っていく上で、自分も「愛」らしきものを持って大切に育くみ与えたり与えられたりしながら生きていきたいなぁと思った。
読んでよかった、出会えて良かったと思える一冊です。
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