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なかなかもらえない極真の黒帯

池袋に黒帯を注文しに行く

 昇段審査会が終わると、当時私の道場指導者だったある黒帯の先輩が駆け寄ってきて、
「黒帯合格だ!」と言われ、私はホッとしました。
帰りは応援に駆けつけてくれた道場仲間と飲みに行き、そこで飲んだビールの味は格別だったのを覚えています。
 しかし、それから2週間くらいしても黒帯をもらえなかったので、
 「先輩、黒帯を自分で購入して締めてもいいです
  か?」と聞いたところ、
 「いいよ、正式な帯は時間がかかるから」と言われました。

 私は念願の黒帯を早く締めたくて、翌日、池袋の「日本武道具」という極真空手着や帯などを古くから扱っている由緒あるお店に行きました。注文しても数日はかかると思っていたら、その場ですぐに作ってもらえました。会計を済ませ、袋に入れてもらってその店を出ましたが、自分ではまだよく見ていなかったので、家に着くまで待ちきれず、武道具屋さんの近くの丸井に寄って見てみることにしました。

 階段の踊り場に行って袋から開けて帯を取り出すと、自分の名前が綺麗に刺繍され、金線が一本入った壮麗とも言える格別感のある黒帯でした。少なくともその時の私にはそう見えました。それから最高の気分で帰宅しました。家に帰ってからも自分の部屋で空手着に着替えてその黒帯を締めて蹴った上段回し蹴りの格別さは忘れられません。
 それから1ヶ月後くらいにようやく正式な黒帯をその先輩からもらいましたが、その時はあまり感動はありませんでした。本来は、この時に同時に昇段状ももらえるはずだったのですがもらえませんでした。また、昇段すると昇段レポート(黒帯になるまでの努力やこれからの抱負など)を提出する必要があり、後日「パワー空手」という月刊雑誌に写真入りで必ず掲載されることになっていました。私はそれも楽しみで毎月その雑誌が発刊されると本屋に行き、自分のが掲載されているか確認しに行くようにしていました。
 しかしながら、半年経っても1年経っても私のレポートは掲載されることはなく、昇段状も手元に届きませんでした。

次回は「真相究明に向かう」についてお話したいと思います。

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