Number_iはダサいのか?カッコいいのか?

最近音楽シーンで何かと話題を提供しているNumber_i。
アイドルグループらしからぬ斬新な音楽性で多くのリスナーを虜にしているが、その一方でSNS上ではアンチや批判の声も多く見受けられる。

「サビがダサい」
「キンプリ時代の方が良かった」
「岸の声が変」
「これが脱退してまでやりたかった事なのか?」

賞賛と批判が真っ二つに分かれている印象だ。
なぜここまで評価に乖離が生まれているのか?
本記事ではその理由を探っていこうと思う。


岸優太の歌声は間違いなくカッコいい


賞賛と批判が真っ二つと言ったが、特に岸優太のラップに対する評価は綺麗に分かれている。
キンプリ時代は普通に歌唱していてどちらかといえば綺麗系の歌声を披露する事が多かったが、Number_iでは一転してファニーな高音ラップを中心とした変幻自在のラップ歌唱を行なっている。
彼の歌唱は非常に独特な為かよくSNS上では切り取られる事が多い印象だ。
中には変な声だとか、もっと普通に歌えばいいのに!など否定的な声も多く見られる。
そのように感じるのはキンプリ時代と比べてあまりにも振れ幅が大きすぎる事や、単純に音楽に詳しくない為このような聴き慣れない歌唱、声質に抵抗を持ってしまうのが原因だろう。
一般リスナーからは様々な受け取り方をされているが、その一方でコアな音楽ファンからはその歌唱の幅広さ、技術の高さから軒並み好意的に受け止められている印象がある。
岸優太の歌唱技術の何が優れているのかについては以下のYouTubeチャンネルの鑑賞をオススメする。

https://www.youtube.com/watch?v=4t4xU7SyfTc&t=539

ボイストレーナーのカンジ氏が曲を聴きながら即興でリアクションや歌唱技術の解説をしている。動画内でカンジ氏が「GOAT」で一番カッコいいのは2番の岸優太パートだと言っているが、筆者も全くもって同意見である。
元々綺麗系の歌声も披露する力を持っているにも関わらずあえてこれを封印し、変幻自在のトリッキーなラップでNumber_iの楽曲により奥行きを与えている姿がカッコいい。
全員がそうとは言えないが、大半の音楽好きは歌声や歌詞を音や楽器として捉える傾向がある。そして岸優太のラップは他では中々味わえない耳を楽しませる良質な音、楽器として機能していると思う。
耳の肥えた音楽ファンを唸らせる歌唱技術の高さ、歌唱の引き出しの多さ、これはNumber_iの一つの大きな武器であり、岸優太のラップがあるからこそ普段アイドルソングを聴かない層、コアな音楽ファンを惹きつけるカッコいい歌声なのだ。


最新曲「INZM」の率直な感想

https://www.youtube.com/watch?v=QmaNuj4n9Ec

筆者が最新曲「INZM」を初めて耳にしたのはXで拡散されていたMステでの歌唱シーンの切り抜きからである。
それを聴いた際の最初の感想としては、

流石にズマァはやりすぎだろ!!

という安易な感想である。笑
しかし切り抜き動画だけで判断するのはどうかと思い、すぐにMVを視聴した。

最初のサビ〜1番〜サビ

冒頭からゴリゴリのロックサウンドが炸裂し、スクラッチ音を交えながら最初のサビに向けていきなりテンション上げまくりのスタートである。そして問題のサビに突入するがMステの切り抜きの印象とは違い、そこまで違和感なく聴ける。(なぜ違和感なく聴けるのかは後述する。
そしてサビのサウンドをそのまま引き継ぐ形で1番に突入する。Aメロは岸がお馴染みのファニーなラップを披露しているが、神宮寺はラジオボイスでちょっとおねだりするようなチャラい(?)ラップを披露しており、これまでとはまた違ったテイストで曲に幅を持たせている
その後平野の低音ラップが入るがこちらも普段よりやや気怠そうな感じのラップを披露しており、今まで以上にライトリスナーを置いてけぼりにしていきそうな勢いだが、サビは一転して今までの楽曲よりも一番ライトリスナー向けでわかりやすいのかもしれない。

2番〜サビ

1番のサビが終わると一旦ゲームオーバーとなり(?)、曲のテンポとサウンドが変化する。この曲で数少ない歌詞が聴き取りやすいパートだ。この後また怒涛の展開が待っているのでちょっと箸休め的なパートを挟んで曲全体の緩急を上手くつけていると思う。
その後平野の低音ラップと共に再びテンポが加速し、岸優太パートに突入する。
1番の攻撃的なサウンドとは異なり、ファンキーなサウンドでこれまた面白味のあるパートだ。そしてここで例の”カップ麺”が炸裂する。
SNS上でもかなり切り取られていた部分だが、なぜ唐突にカップ麺という歌詞が現れたのかについては、推測だが「INZM」は歌詞に””という数字を多用しており、カップ麺は3に連想する言葉(3分で作れるから)として遊び心で盛り込まれているのだろう
歌詞の意味を追うだけでなく言葉遊びとしての歌詞を楽しむのもより音楽の聴き方が広がるのでオススメ。

ラストの怒涛の追い込み

2番のサビが終わるとさらに激しさを増していく。特にMVでいうと3:08~あたりのパートは高速の激しいサウンドをバックに3人のラップもシャウト気味のかなり攻撃的な歌唱を披露している。ここに関しては完全に歌を聴かせることを放棄し、自分達も一つの楽器、音であることに重きを置いているように感じられる。
ラストの大サビに向けてサウンドと一体となって加速していくことで聴き手のテンション、期待値を一気に上げる効果があると思う。
そしてラストの大サビでは息をつく暇もないほどの高速ラップが炸裂する。序盤のサビとは打って変わってゴリゴリでカッコいい3人のラップが堪能出来る。
最後にこれまでとは違うサビを持ってきたことで最後までダレずに聴けるのでこの配置は正解だろう。
最後に平野が1・2・3と唱えて曲は突然終了する。余韻を残さずぶった斬る感じもこの曲の終わり方としてはふさわしいと思う。

全体的な感想

SNS上で切り取られている動画の印象と、Fullで聴いた印象はかなり異なる。サビだけ見るとダサく感じてしまいがちだが実際はゴリゴリのサウンドに攻撃的かつ遊び心のある3人のラップがこれでもかと堪能出来、最後まで聴き手を掴んで離さない満足度の高い良曲となっている。
サビも裏を返せばわかりやすい仕様になっており、これだけマニアックなことをしていながらライトリスナーにも流行りやすい作りになっているのが上手いなと思う。
切り抜きでは正直ダサさも感じたサビも、Fullで聴いたらそこまで違和感は感じなかったがなぜそのように感じるのかについて次の項目で考察する。


歌詞はただ聴くのと活字として見るので印象が大きく変わる


そもそもSNS上でダサいと叩かれている一番の原因は、Mステ出演シーンの為歌詞が表示されている部分を切り取られているからである。
例のサビや”カップ麺”など、聴いてる分にはそれらは音として捉えるのでそこまで気にならないが活字として表示されると今度は文字として捉えるので確かに違和感やダサさを感じてしまう。

筆者は作詞をする際には必ず活字化された全体の歌詞を見渡して、あまり文字としてしっくりこない部分はあえてカタカナやローマ字表記にしたり、別の言い回しに変えたりして調整するようにしている。
正直ここまでこだわる必要はないと思うが、それでも聴いてる分には気にならなくても文字として見ると急に違和感を感じてしまうことがあるのでその都度修正するように心がけている。
Number_iの場合は活字化された歌詞に関してはあまりこだわりを持っていないように思われる。その為活字化された歌詞だけを見てあまり音楽に詳しくない人からダサいという印象を持たれてしまうのである。

歌詞に意味があるかどうかは正直どちらでも良い。リズム感や言葉遊び重視の歌詞でも全然OKだ。
ただ Number_iの場合は今後も数多くの音楽番組に出演すると思うので、歌詞の活字化に対する意識を持つとより曲のクオリティが上がるのではないかと個人的には考えている。


結論


Number_iはSNS上の切り抜きで良くも悪くもバズっている為、一部だけしか見ないライトリスナーからダサいという印象を持たれてしまいがちだが、実際はアイドルグループとは思えないほど高い音楽性や歌唱技術を持っており、ちゃんと本質を見ているコアな音楽ファンから見れば間違いなくカッコいいグループである。
勿論細かい部分を見れば確かにダサさを感じるところもあるが、人気者になるためにはちょっぴりダサさもありつつでもカッコいいぐらいが丁度良いのではないかと筆者は考える。
過去に人気のあったアーティストを見ても必ずダサいと批判する層は必ず存在していたし、そういう意見が付き纏うのはある意味人気者の宿命でもある。Number_iには批判も賞賛も巻き上げるだけのパワーがあると思う。
アンチも別の見方をすれば結果的にSNS上などで宣伝してくれているので、それをキッカケに普段アイドルグループに興味無い層にも浸透しやすくなっているのでこれは良い傾向だと捉えても良いのではないだろうか。

Number_iにはこれからも批判すらも力に変えて自分達のやりたい音楽をもっと追求してアイドルグループとしての新しい姿を築いていくことを筆者としては期待している。



最後まで読んでいただきありがとうございました。
noteとは別にボカロPとしても活動しております。
ぜひ以下のリンクより楽曲を聴いていただけると嬉しいです!

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↓こんな感じの曲作ってます
https://www.youtube.com/watch?v=Jd9JL-_OQOg

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