もう、ほんとうに

今日が最後と決まっている待ち合わせ

今日が最後と決まっているランチ

よくもまあ、バクバクと

ハンバーガーをふたつも食べられるもんだ

頬張るとふせめがちになって

その長い睫毛が松の枝ぶりみたいで

いや立派なものだと感心したりして

今日が最後なのに

いつもと変わらない、すべて

もうどこでわたしが倒れてもあなたの知る由はない

もうどこであなたがだれかの手をとろうとわたしの知る由はない

今日が最後と決まっている会話

今日が最後と決まっている笑顔

よくもまあ、次々に

ポテトやらスープやら頼めるもんだ

ポテトを引き抜く無骨な手に

四角くて短い爪

仕事をするためにあるかのようだと

美しいなと感心したりして

今日が最後なのに

いつもと変わらない、すべて

やっぱり、もういちどやり直してみる？

そんなあなたの言葉と

首をふるわたしの心だけが

これからはもう、いつもと同じじゃなくなるんだと告げてる

もう、ほんとうに

もう、ほんとうに

これで最後

もう、ほんとうに

もう、ほんとうに

今日で最後