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⑤日本縦断4日目〜小樽〜

旅は結婚のようなもの。
コントロールしようと思うのが間違いなのだ

小説家 ジョン・スタインベック


旅において大事な事は、流れに逆らわない事。
そして天候を確認する事。
この2つであると思います。
これに逆らったり、軽視をすると大事なものを逃したり痛い目に遭う。
小樽での日々はそれを具現化した1日でした。

札幌の夜。
Googleマップと友人の話を参考に次の日のルートを模索していました。
選択は3つ。
北の稚内。
西の小樽。
南の支笏湖。
さてどうするか…。

翌朝、友人と別れた自分は小樽に向かう事にします。
小樽に選んだ理由は正直特にありませんでした。
札幌から近いというのと、何となく聞いた事があったから。
今となれば小樽を知らないというのは非常に恥ずかしい限りですが、当時の自分は残念ながら無知な男でした。
候補であった稚内と支笏湖。
どちらも魅力的でした。
しかし両方ともママチャリではかなり難所である事が推測出来たので断念しました。
日本縦断しといて難所という理由は今となってはよくわからない理由ですが、当時の自分にとってそれがベストな選択でした。
この2つは次回、車でゆっくり回りたいと思います。

札幌から小樽までの距離は約40キロ。
隣町です。
颯爽と小樽に向かって走り出します。
その道中、とあるお婆さんに出会います。

婆「日本縦断してるの?」
僕「はいそうです。鹿児島・沖縄まで向かってます。」
婆「そう、凄いわね。けど北海道は凄い広いし大変よ。もし何か困った時は周りの人を頼りなさい。北海道の人はみんな優しいから助けてくれるわ。」

といった他愛もない会話。
でも現地の方からのアドバイスであったのと、自分は1人でないという気持ちになった事からこの言葉はとても励みになったのは憶えています。
実際この後、色々困難な事が起きましたがこの言葉を頼りに色々な人にお世話になりました。
とても印象的な出会いだったので、この会話を記事に書かせて頂きました。

話は戻り小樽に向かって走り続けますが、北海道での隣町は東京とは訳が違います。
特にママチャリにとっては難儀な道でした。
その難儀となったのが坂道です。
というかこれから先、厳しい思いをするのは全て坂道が原因です笑
札幌から小樽への坂道は緩やかな坂でした。
正直坂道を登っている感覚はあまりない。

「何かペダルが重いな…。あ、今坂を登ってたんだ」

といった感覚。
では何故キツかったのか。
理由は長かったからです。
山裾を登っているので、終わりのない坂を登っている感覚。
終わりが見えない道を進むのは精神的に来るものがあります。
しかし留まるわけにもいかないので、自転車を押しながら進みます。
その代わり景色は素晴らしいものでした。
見えるのは石狩湾です。
その海の景色が山裾を走る函館本線と相まってすごく綺麗。
ドラマのワンシーンのようでした。
そういった景色を見て何とか気を紛らわしながら無事坂道を越え、小樽に入ります。

道中見える石狩湾。
こういった山を登る。緩い坂だがかなりキツい。

小樽に着き、まずスーパーで弁当を買いお昼ご飯。
至って普通のシャケ弁を買いましたが、北海道のシャケは脂が乗っていてめちゃくちゃ美味い。
北海道の海の幸のレベルをスーパーの弁当で感じました。
海を見ながら弁当を食べるという幸せを感じてた時、中学生くらいの男の子が声を掛けてきました。

中「日本縦断されてるんですか?」
僕「はい。そうですけど」
中「TikTokでそういう旅してる人見た事あります!凄いですね!応援してます!握手して下さい!」

と凄いあたかもスーパースターを見たかの様な目をしながら握手を求めてきました。
ただのバックパッカーにしか過ぎない自分にとってこの反応はとても驚き困惑しました。笑
しかし中学生のその子にしたら、旅は画面の中の世界で非日常な世界にいる人間が目の前にいる訳です。
そういった目になるのは納得出来ます。
そして少し照れ臭い気持ちになりながら、その男子中学生と握手をします。

小樽の築港臨海公園にて。
かなりのヨットの数。そして海は波一つ立たないくらい穏やか。

昼食を終え、街に向かって走ります。
入ってすぐ小樽の街に驚かされます。
小樽運河とビール倉庫の街並み。
手宮線跡や旧日本銀行小樽支店などの歴史。
小樽出抜小路の面白みのある飲食街など、小樽の街はとても魅力に溢れていました。
他の街にない小樽独自の魅力です。
そしてテンションが上がり、調子乗ってインスタ映え撮ってました笑

手宮線跡にて。1人で撮るもの程寂しいものはない。
小樽市内を横切る様にある手宮線跡。小樽の観光地だ。
小樽運河。小樽の名所。
小樽駅。独特な内装をしてました。

小樽を一通り回ったところで寝床探しを敢行。
海沿いにベンチがあったのでそこで野宿しようと思いました。
しかし、通りかかったオバ様に、

「明日大雨らしいよ〜」

の一言。

「へ、、?大雨?」

この日の夜から翌日にかけて小樽では暴風雨が来るとされていました。
全く天気予報を見てなかった自分にとって寝耳に水。
しかし泊まるにしても小樽のホテルはどこも高級そうなホテルばかり。
大出費で一泊するか、雨風に晒されながら1日耐えるかの2つに1つ。
どちらに転んでも自分にとって地獄の選択です。
どうしたものかとフラフラしていたらゲストハウスらしき場所を発見。
「HOTEL otaru YADO」
とかいてある。
そして丁度スタッフの様な方が店から出てきたので話しかけてみる事に。

僕「すみません。ここはゲストハウスですか?」
ス「そうですよ。泊まりますか?」
僕「値段次第ですね。因みにお幾らですか?」
ス「一泊2000円くらいです。」

ゲストハウスで2000円は妥当な値段。
しかも小樽の中でここを除いてゲストハウスは無さそう。
という事でこの日は無事ゲストハウスに泊まる事にしました!
このotaruYADOさんは3階建てのビル型ゲストハウス。
近年改装して作ったことから凄い綺麗でお洒落な内装になっていました。

ラウンジはキャンプ風のデザインと遊び心満載。
otaru YADOさん。小樽で一番の思い出。

早速ベッドルームに行くと先客が。
名前はKさん。
僕と同じく日本を自転車で旅している方で、大阪から九州を周りの北海道に来たんだとか。
歳は自分の10歳近く上。
でも若々しくて同い年に見える程!
旅で出来たはじめての旅仲間だったので、とても嬉しかったのを覚えてます。
そして夜はリビングでKさんとお酒を飲みながら、旅の事やこれからの事などずっと話しました。

「小樽に来てよかったな…」

そう思いながら、夜を過ごしたのでした。

さいごに
旅は同じな様で、多様です。
刺激を求める人、経験を求める人、成長を求める人、景色を求める人、出会いを求める人…。
それぞれの理由があって、正解がない。
哲学の様なものです。
それが旅の魅力の1つであると思います。
そして事業だったり、スポーツなど成功や結果が求められるものと大きく違う所です。
しかし深く入るとその世界から出られなくなる、という恐ろしさもあります。
(それは思考的なものです。)
そういったものを超えた先に旅で得たものは一生モノであり、半ば悟りに近いモノでもあります。
旅は多様。
それを是非少しでも多くの人に知ってほしいなと思っています。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
また読んで頂けると幸いです。
よろしくお願いします。

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