20240609

久しぶりの散歩道

歩いていると
色とりどりの
桑の実を見つけて

小さい頃のことを
思い出す

農家の友だちの
広い敷地の中

小屋の二階に
はしごを伝って
のぼっていくと

シャワシャワ？
シャリシャリ？
シャンシャン？

不思議な音が
部屋いっぱいに
あふれていて

そこには
緑の葉を一心に食む
お蚕たちの姿があった



あの日
一度きりだったけど
いつまでも覚えている

どうしたら
あんな風に
何かにひたすらに
なれるのだろうか



言えないことばを
胸に抱いたままにも
かかわらず

包みこんでくれる
ぬくもりに

戸惑いながらも
どこか安堵し

今日もこうして
眠りにつく