自分のことを話せるとき (タカシ君のその後)


このところよく登場してくれるタカシ君、働き始めて早3か月。

初めての給料が出たときには、親や世話になった方にお礼の品を送ったそうです。
今回はその時のお話です。

彼はお母さんには感謝の気持ちとしてお花を送りました。
そこで花屋の人に、「母親に初めての給料で花を送りたい。どんな花がいいですか。自分は今 までずっと引きこもっていたけど、働いて初めての給料だから。」と話したんだそうです。
それを頼んだお花屋さん、彼は知らなかったようですが実はママ友だったんだそうです。
お花 屋さんは感激してさっそくお母さんに連絡を入れてくれました。

それを聞いたお母さん、花束をもらった時、 「よく頑張ってきたね。不登校から数えて12年。本当によく頑張ってきたね。」 と、うれしさのあまり思わず抱きしめて涙ながらにそう言ったそうです。

中学で不登校になっ てその後大学受験でまた閉じこもっていたので、それから数えるとそうなるんですね。
どれだけ長くつらい道のりだったことでしょう!
普段はあまり感情の起伏を見せない彼も、さすがにこの時は涙を流していたとのこと。 幸せな光景です。

その後もタカシ君、家族で行ったお寿司屋さんにも話の流れから 「自分は引きこもっていたけど今はあそこの不動産屋さんで働いています。」と自分から話して いたそうです。
こうして自分の過去の事を話せるというのはそれが自分の心にとってはもうあまり痛くな く、距離を持てたという証拠のような気がします。

ちょっとした世間話の中で自分の今までの事を話せたタカシ君。

私は彼が素敵な青年になっていると感じたのでした。

そして最後に・・・・
なんとなんと!
私にまで初給料でプレゼントを用意してくれていたのです。
「話をききながらいつもメモを取っていたから。」ということで素敵なペンを選んでくれました。感激です。
こういう喜びがあるからこの仕事 やめられない!

(文中ではプライバシー保護の観点から仮名とし、内容も多少変えてあります)

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