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フィクションにおける「引用」の効果

今日は引用についてお話ししようと思っております。小説作品の中で、現実に存在する文章を引用するということは、僕も何回かやったことがありまして。

例えば『竜血の山』という小説では、全ての章の章頭に、読売新聞の実在する新聞記事を引用しました。この小説はいろんな時代を舞台にしているんですけれども、各時代の感覚というか、雰囲気みたいなものがすごく当時の新聞記事に現れているんですよね。さらに各章を読むためのガイドというか、とっかかりになるような一文が当時の新聞の中にあったので、引用することで小説の雰囲気作りに活用させてもらいました。あとは『生者のポエトリー』という小説は連作短編集なんですけど 。基本的には僕の創作した詩を登場人物たちが朗読する体裁になってるんですが、実は実在する詩も一つだけ入っていて。三好達治の詩なんですけれど。ここだけは実在する詩を入れたくて引用したんですね。

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