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公務員人気の終焉

最近ネットニュースなどで、たびたび「公務員離れ」に関する記事をみかけるようになりました。
バブル崩壊以降、長年公務員は人気職業の上位にランキングしてきましたが、実態はどうなのでしょうか。

採用試験の実施状況をみると

下のグラフは、ある自治体の技術職の倍率の推移です。
直近の数年間は、倍率が2.0を下回っている状況です。
10~5年前の倍率は3.0~3.5で推移していたので、半分程度まで下がったことになります。

私の職場で直面した事態

私の自治体も、昨年度受験者が集まらなかったようです。
そして、(合格者数/採用予定者数)の比率は1.1でした。
受験者は複数の自治体を併願していることが多く、内定を辞退する人が一定数います。これを踏まえて、前述の比率は通常2.0程度にしておく必要があります。これが1.1だったということは、絶望的に志望者が少なく、合格者を確保できなかったことを意味します。
実際に、私の自治体では採用予定者数を確保できず、追加募集をかけていました。それでも人材を確保できず、当初計画していた増員が果たせませんでした。

国家公務員のブラックな業務内容

コロナ禍の影響で、依然として有効求人倍率は下がっているようです。
経済が不安定な時こそ公務員に人気が集まりそうですが、なぜ不人気なのでしょうか。
その一因として、公務員のブラックな労働環境が知られるようになったことが挙げられます。有名なのが、国家公務員の労働環境です。
特に、霞ヶ関の役人達は、国会答弁の対応などに奔走させられています。
翌朝の国会答弁のために、事前レクが深夜にあり、徹夜で資料を作成するそうです。そして、自席で2時間程度仮眠し、翌朝から働いているとのことでした。
ちなみに、国家公務員の仕事は昔からハードで、以前元国家公務員という人から「出張先で電話ボックスに入り、30分だけ立ち寝して休息を取っていた」という話を聞いたこともあります。

その他にも要因はある

公務員不人気の要因として、他にも考えられるものがあります。

「民間企業の待遇が良くなった」
「働き方改革で民間企業の労働環境が改善された」
「そもそも少子化で受験者数が減った」
「公務員の不祥事が多くイメージダウンした」
「副業ができない」

私は、公務員の最大の魅力と言われてきた”安定”に対する価値観が変化してきたのではないかと考えています。
今日の日本は、昔に比べると「やりたいことをやるべき」という意識が高まってきたと言えます。また、情報量が増え、様々なことへ挑戦できる機会も増えました。
公務員の人気低下は
「やり甲斐のない仕事に我慢し、その対価として安定を得る」=無価値
と評価された結果なのかもしれません。

まとめ

公務員という職業に対する認識は、ここ数年で明らかに変わってきたと思います。今後、人材不足が深刻化し組織の崩壊に発展する事態となるかもしれません。
その一方で、次のような意見もあります。
「公務員の仕事など誰でもできることであり、それを一流大学卒のエリートがやるべきではない。エリートは民間企業に進出し生産性の高い仕事をすれば、日本のGDPを上げることができる。」
公務員の人気低下は、決して悲観するものではないのかもしれません。



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