共感的映画論

 そのときがいつ訪れるかわからないが、思いがけず、観終わった時に、「いい映画だったな」 といった思いが、ゆっくりと胸の奥に深まっていくような映画に出会うことがあります。

 おそらくこの時、わたしはその映画で描かれた<現実>を観る・・・・・・・・・・・・ということによって、ひとつの実現されたイメージを共感的に受け取っているのです。その<現実>の地面に立って、そこの空気を呼吸しているような感覚になって。
 
 日常の生活では、たいていは、実現されることなく中途半端なままうやむやに立ち消えてしまう、”自分がいる” この世界のイメージがいきいきとして立ち現れるのを、その<現実>の深みで体感しているのです。


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