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犬神家の一族を振り返る(その1)

はじめに

なぜ犬神家の一族を振り返っているのか、それは私の読書の原点ともいえる作品になるからです。そして、なんとなくです。(文中に出てくる画像は肖像権をケアするために全てフリー素材を使用しております)
改めて小説を読んでいる時間もあまりないので、自分の記憶と拾ったネットの資料から書き綴ってみようと思います。

4月22日29日にNHKで放送予定

いや、全く不意に入ってきた情報なんです。このnoteの記事は3月上旬頃に書きかけで、忙しくて完成まで作り切れずに放置していました。そんな中で、NHKで放送予定の情報が入ってきました。予告をみましたが、これは滅茶苦茶面白そうです。下記は、若干ネタバレを含んでいるので、まだ見たことがない・忘れた方で興味がある方は読まないでください。見るつもりはない、既に内容は知っている奇特な人は是非読んでください。
また、犬神家の一族は登場人物が多くて誰が何者なのかわからなくなる可能性があります。そういう場合は、下記に家系図を作成したので、これを見ながらドラマを見ると話しについていけると思います。
NHKの犬神家の一族の予告動画のリンクを参考までに貼っておきます。キャスティングが素晴らしいです。私はNHKのサブスク料金を何十年も愚直に払っていますので、こういうのは嬉しいです。岸部露伴のドラマの時もそう思いました。
https://www.nhk.jp/p/ts/L3331VWV67/movie/

無茶な遺言状

この物語は莫大な財産(数十億)を持っていた犬神佐兵衛(イヌガミサヘエ)が遺言状を残して亡くなるところから始まります。
原作は文体が古くて良い味があるのですが、苦手な人もいると思います。下記に、原文らしきものをネットから引っ張り出したので貼っておきます(原文に付け加えて申し訳ないが読みにくい漢字にはふりがなをいれました)。時間のない方はとばし読みしましょう。

ひとつ。犬神家の財産、ならびに全事業の相続権を意味する、犬神家の三種の家宝、斧(ヨキ)、琴、菊は次の条件のもとに野々宮珠世に譲られるものとす。ひとつ。ただし野々宮珠世はその配偶者を、犬神佐兵衛(サヘエ)の三人の孫、佐清(スケキヨ)、佐武(スケタケ)、佐智(スケトモ)の中より選ばざるべからず。その選択は野々宮珠世の自由なるも、もし、珠世にして三人のうちの何人も結婚することを肯ぜず、他に配偶者を選ぶ場合は、珠世は斧、琴、菊の相続権を喪失するものとす。ひとつ。野々宮珠世はこの遺言状が公表されたる日より数えて、三か月以内に、佐清、佐武、佐智の三人のうちより、配偶者を選ばざるべからず。もし、その際、珠世の選びし相手にして、その結婚を拒否する場合には、そのものは犬神家の相続に関するあらゆる権利を放棄せしものと認む。したがって、三人が三人とも、珠世との結婚を希望せざる場合、あるいは三人が三人とも、死亡せる場合においては、珠世は第二項の義務より解放され、何人と結婚するも自由とす。ひとつ。もし、野々宮珠世にして、斧、琴、菊の相続権を失うか、あるいはまたこの遺言状公表以前、もしくは、この遺言状が公表されてより、三か月以内に死亡せる場合には、犬神家の全事業は、佐清によって相続され、佐武、佐智のふたりは、現在かれらの父があるポストによって、佐清の事業経営を補佐するものとす。しかして、犬神家の全財産は、犬神奉公会によって、公平に五等分され、その五分の一ずつを、佐清、佐武、佐智にあたえ、残りの五分の二を青沼菊乃の一子青沼静馬にあたえるものとす。ただし、その際分与をうけたるものは、各自の分与額の二十パーセントずつを、犬神奉公会に寄付せざるべからず。ひとつ。犬神奉公会は、この遺言状が公表されてより、三か月以内に全力をあげて青沼静馬の行方の捜索発見せざるべからず。しかして、その期間内にその消息がつかみえざる場合か、あるいはかれの死亡が確認された場合には、かれの受くべき全額を犬神奉公会に寄付するものとす。ただし、青沼静馬が、内地において発見されざる場合においても、かれが外地のいずれかにおいて、生存せる可能性ある場合には、この遺言状の公表されたる日より数えて向こう三か年は、その額を犬神奉公会において保管し、その期間内に静馬が帰還せる際は、かれの受くべき分をかれに与え、帰還せざる場合においては、それを犬神奉公会におさむることとす。ひとつ。野々宮珠世が斧琴菊の相続権を失うか、あるいはこの遺言状の公表以前、もしくは公表されてより三か月以内に死亡せる場合において、佐清、佐武、佐智の三人のうちに不幸ある場合はつぎのごとくなす。その一、佐清の死亡せる場合。犬神家の全事業は協同者としての佐武、佐智に譲らる。佐武、佐智は同等の権力をもち、一致協力して犬神家の事業を守り育てざるべからず。ただし、佐清の受くべき遺産の分与額は、青沼静馬にいくものとする。その二、佐武、佐智のうち一人死亡せる場合。その分与額同じく青沼静馬にいくものとする。以下、すべてそれに準じ、三人のうち何人が死亡せる場合においても、その分与額は必ず青沼静馬にいくものとなし、それらの額のすべては、静馬の生存如何により前項のごとく処理す。しかして佐清、佐武、佐智の三人とも死亡せる場合に於ては、犬神家の全事業、全財産はすべて青沼静馬の享受することとなり、斧、琴、菊の三種の家宝は、かれにおくられるものとなす。

横溝正史『犬神家の一族』p66〜70
犬神家の家系図
犬神家家系図

遺言状とは

遺言状について、詳しく知らない人は、遺言状に書いてあることは絶対的で、例えば、Aさんにのみ財産を相続する、という内容が書いてあった場合、必ずAさんにだけ財産が相続される、と思っているかもしれません。
しかし、日本の法律において、絶対的な内容ではなく原則でになります。
そして、この遺言状は法律的に無効・遺留分侵害などのつっこみどころがある内容になっております。婚姻の自由の侵害・公序良俗違反・遺留分の侵害(遺言によっても処分できない財産で、どんな遺言がされても相続できる)といえる遺言状の内容になっていますが、物語が面白くなくなる可能性があるので、この遺言状は絶対である、ととらえましょう。
遺言状の内容としては、誰かと結婚しないと相続できない、とか、誰かが死んだ場合の相続のパターン等、殺人事件をおこさせよう、というサヘエの狙いを感じます。

異母姉妹

男1人に女4人
性豪サヘエ

サヘエは結婚をしていませんが、3人の娘である松子・竹子・梅子がいます。その子供たちは全員違う母で、子供だけ戸籍にいれています。そして、犬神姓ではない、子供が二人います。青沼静馬と、野々宮祝子です。
青沼静馬は血縁でいくと直系の長男になります。
そして、野々宮祝子とはよくわかりませんよね。この子供は、サヘエの恩人でかつ衆道(ゲイ)の契りのある野々宮大弐の妻との間の子供になります。大弐は妻との間に子供を作れなかったので、サヘエに作らせたようです。そして、珠世はその子供になり、サヘエの孫にあたる人物になります。
話についていけますか?

ゴムマスクの男の登場

ゴムマスクの男
犬神佐清(?)

遺言状が読まれた後に、犬神佐清が戦地から帰ってきます。
ゴムマスクをかぶっていて非常に特徴的な人物になっています。
彼は、戦地で顔に負った火傷を隠すために、ゴムマスクをかぶっています。
そのため、この人物は本当に佐清なのか?というミステリー要素があります。

金田一耕助について

金田一耕助は私立探偵です。余談ですが、金田一少年の事件簿という漫画がありますが、金田一少年は金田一耕助の孫にあたる人で、有名なセリフとして、「じっちゃんの名にかけて!」というのがありました。
私の金田一耕助に対する印象ですが、特にない、というのが私のもっている印象です。
私はミステリードラマが好きでしたので、シャーロック・ホームズや名探偵ポワロのキャラクターは非常に好きでした。
しかし、この金田一耕助についてはキャラ立ち(髪がぼさぼさで不潔・貧乏・帽子等)はあるのですが、それ以上に犯人のキャラクターが非常に強かったり、そのドロドロとした感情(下半身がもやもやする)が物語の中枢にあるためか、印象が薄いです。皆さんはいかがでしょうか?

つづく

本業+WEBライターをしていて合間に書きたいものを書いてやろう!と意気込んでいたのですが、そんな時間は寝る時間を削らなければ作れない状況です。
とにかく、NHKの犬神家の一族が2話構成になっているので、こちらも一旦区切ります。




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