コーヒーの香り
パチパチパチパチとパソコンを叩いている音。
たまに入る無線からの指令。
事務所内に響く話し声。
この仕事をしていると、プライベート=1人の空間というものはあまりない。
その中で唯一自分自身が、ひとりの世界に入り込めるのはコーヒーを飲んでいる時である。
コーヒーを飲み始めたのは、小学生の頃だった様に記憶している。初めてコーヒーはブラックだった。砂糖も牛乳も入っていない、ただの黒い飲み物。
何故こんなものが美味しいと感じるのか疑問に感じていた。
美味しくないながらに後を引く味。小学生には生意気ながらコーヒーを飲んでいた。
今これを書いていて思い出したのは、初めてビールを飲んだ時だ。こんなに苦い物が美味しいなんてありえない。未だにそう思っている。
初めてアルコールを飲んだ時は、私はハイボールから飲み始めた。不思議とハイボールはスルスルと喉の奥に進んで行った。
それから私はハイボール派となった。
話を戻すと、幼いながらにコーヒーという飲み物に惹き込まれて行った。
中学生、高校生、社会人とコーヒーを飲んでいる。そして、これを書いている今もコーヒーを飲んでいる。
コーヒーの思い出と言うと、皆さんはどんな事を思い出すだろうか。
思い出の喫茶店での1杯。誰かから貰った温かい缶コーヒーなど、人それぞれだろう。
私はこのコーヒー作っている時にふと、思い出した事があった。
サービスエリア等に置いてある紙パックで出てくるコーヒーの香りだった。
車で家族で旅行に行った時に飲んだ紙パックのコーヒー。
高速バスに乗り、休憩で立ち寄ったサービスエリアでの1杯。
その思い出が一気に駆け巡った。
匂いと記憶には深い関係があると言われている。記憶を司る海馬は匂いとともに、その記憶を喜怒哀楽といった感情も共に思い出す様になっていると言われている。
そんなコーヒーの香りを嗅ぎながら飲む1杯は、仕事中でも、プライベートでも思い出の中に誘ってくれるものだと私は思っている。
ちょっとした気分転換には、これからもコーヒーを飲み続けたい。
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