2022年11月16日 スーパーカブで四国初上陸2日目
前の記事の続きです。
快活CLUBに泊まるのは初めてだったが、あまりの快適さに12時間も長居してしまった。かなり取られたが、それでもホテルに泊まるより安い。
気分よく快活を出て、快晴のもと海沿いを走る。今日の予定は特に決めていないが、ナビを見る限りは時間的にまだかなり余裕がありそうだ。
丸亀から香川と愛媛の県境沿いまでは、道路は気持ちよく走れたもののあまり止まりたくなるようなところがなかったため、特に寄り道はナシ。
愛媛県に差し掛かったかな、という所で良さそうな道の駅を見つけたので、トイレ休憩をとる事にした。
「道の駅とよはま」と言い、ゆゆゆの聖地になっているらしい。店内にゆゆゆグッズが販売されている他、ゆゆゆの自販機が設置されていた。
「黄金持ちの聖地」とも呼ばれているらしい。せっかくなので1枚パシャリ。
ゆゆゆは存在こそ認知しているものの、特にアニメを視聴したことがあるわけではないので、適当に流し見。
すると、美味しそうなソフトクリームの看板を見つけてしまい、欲望に抗えず購入。
暖かいとはいえ、もう11月も半ば。ソフトクリームを食べていると段々と体が冷えてきたため、脱いでいた上着を着て出発した。
その後、しばらく道なりに走っていると、赤信号になったため停止。そして、発進しようとすると……「ガタンガタンガタン」とカブが嫌な揺れ方をする。
揺れ方に覚えがあったため、よもやと思い急いでカブを左に寄せて停車。後輪を確認すると…やっぱりパンクしてしまっていた。
「ここに来てパンクするかぁ……」
変なものを踏んだ覚えなどもなく、赤信号で停車するまでは普通に走れていたので違和感が拭えない。しかし、このまま走る訳にもいかないため近くのバイクショップを検索する。
比較的市街地の入り口付近でパンクしたため、直してくれそうなバイクショップまで3キロ程といった所だった。運が良かった。(?)
とはいえ、3キロ。普通に歩くのでもそこそこ遠いのに、重たいカブを押して3キロである。大変なのは目に見えている。しかし、明日も学校があるのでこのままという訳にもいかず。渋々カブを押しながら歩いた。
1時間ほど歩いて、最寄りのバイクショップに到達。「ライダースクラブはなやま」さんで直してもらうことにした。
パンクしやすいのがカブの数少ないデメリット、とよく言われるがこのように大抵のバイクショップで直してもらえるのもメリットと言えばメリットだと思う。
既にこの時点で午後の予定がほぼおじゃんになってしまったが仕方がない。
とりあえずチューブに空気を入れてもらって、タイヤを膨らまして貰った。その間、待合室に案内されてコーヒーを頂いた。正直長い距離を歩いて疲れていたため、非常に嬉しかった。こんなに美味いコーヒーは久しぶりだ。ストレスが癒されていく。
お茶菓子をちびちび頬張りながら待っていると、「ちょっと来てください」と。行ってカブのタイヤを見ると……
タイヤがバツッと裂けてしまっていた。ここまで避けてしまうと、チューブ交換ではどうにもならないとのこと。
幸い持ち合わせがあったため、タイヤの交換をお願いすることができた。1万円余りかかったが、これでしばらくはパンクしなくなると思えば安い出費だ。お金持ってて本当に良かった。
再び待合室に戻ると、愛媛県の名所を紹介した本が置いてあることに気付いた。そういえば、今日はまともに観光をしていない事を思い出して急に勿体ないような気がしてきた。
適当にパラパラと捲っていると、あるページが目に付いた。美味しそうなみかん大福がでかでかと載せられている。お腹も空いていたため、無性に食べたくなった。
検索をかけると、どうやら帰り道の途中にあるようだ。経由地に追加。旅の楽しみがひとつ増えた、とワクワクしながら別のページも眺めていると、修理が終わった。
突然持ち込んだのにも関わらず、とても素晴らしい対応をして頂いたことに対する感謝を伝えて、料金を支払ってから店を後にした。
さて、パンクのお陰で遅めの昼食となってしまったが、せっかくなので大好きなとんかつを食べることにした。よくあるチェーン店、ではあるがとんかつは貧乏大学生にとってはご馳走である。
ご飯も大盛りにしてもらい、腹いっぱい食べて気力も体力も完全に復活。そのままの勢いでカブを走らせ、あっという間に今治までやってきた。
大橋に乗る前に、さっきバイクショップの観光ガイドで見かけたみかん大福のお店に寄る。どうやら「一福百果」と言うらしい。
夕方だからか、他にお客さんは居なかった。新しくていい感じの店内である。
他にも美味しそうな大福や和菓子が置いてあったが、ここはやはりみかん大福を購入。
店員さんもとても丁寧な感じのする人で、店を出る時にお辞儀までしてくれた。とても心が暖かくなった。
みかん大福は、家に帰ってから食べることにして帰路を急いだ。
夜のしまなみ海道を抜けていく中で、この旅の中でのたくさんの思い出が走馬灯のように蘇ってきた。金比羅宮。石段。加美代飴。初めての快活CLUB。道の駅。ソフトクリーム。パンク。コーヒー。
誰もいないしまなみを、思い出を振り返りながら星空をバックにただ駆け抜けていく。なんて贅沢な時間なんだ、と思った。
島々を抜け、家に帰りついたころには10時を回っていたが、不思議と疲れはなく満足感でいっぱいだった。
カブに「お疲れ様、これからもよろしくね」と伝えてから、自宅の鍵を開けた。
四国に行くのは初めてだったが、本州とは全く景色も違い、走るだけで楽しかった。2日間しかいられなかったし、もし次があるのならもっと時間をかけてゆっくりと回りたいものだと思う。
カブのタイヤがパンクしてしまったのは苦い思い出だが、それが無ければあのバイクショップで観光ガイドをめくることもなく、一福百果に寄ることも無かっただろう。
本当に、偶然に偶然が重なっての出来事もあるのだ。
後にみかん大福を家で食べたが、本当に美味しかった。甘く弾ける果肉はジューシーで、モチモチした大福の食感と相まって、新境地を私に見せてくれた。
旅に起こるイレギュラーに対しても、鷹揚に対応することが出来る余裕を常に持てば、今回のように思わぬ幸運が舞い込むことだってある。
いい旅だった。心からそう思う。
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