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気力を失って行動できなくなっても、仕返しを恐れない勇気

Netflixで実写版、「アバター 伝説の少年アン」の配信が始まりました。

アメリカで人気だったTVアニメ「アバター 伝説の少年アン」(2005〜2008年)を基に、「気・水・土・火」の4つのエレメントを操る救世主アンが、戦乱の世に調和をもたらすべく過酷な運命に立ち向かう姿を描いたアクション・スペクタクルです。

中国の東洋的な武芸的要素が盛り込まれた物語なので、まさにアジア祭り
中国、日本、韓国、インド、ベトナム、アメリカ先住民族といった、ありとあらゆる肌に色を持つ俳優さんが大量出演しています。

文化もごちゃ混ぜで何が何だかですが、ネトフリらしく、ファンタジーというよりはバイオレンス。かなりエグい内容なのでちょっと重たいかも……

主人公は12歳の少年

実はこの作品、2010年にも実写版として一度映画化されています。

その時の監督は「シックスセンス」などのヒット作を手がけたM・ナイト・シャマラン監督。7歳の娘さんが見ていたアニメを気に入ったのがきっかけなんだそう。
当時はすでに「ハリーポッター」シリーズが実写化されて映像技術も進んでいたので、それなりに迫力のある作品に仕上がっています。

とにかく個性的な作品ばかり作っている人ですよね

「エアベンダー」という題名で作ったこの映画。当時の監督へのインタビューによれば

「僕はこの題材が持つすべてのテーマが好きだったんだ。まず、子供が勇気を持って戦うということ。シェイクスピア的な王室の諍いが描かれるバックストーリーもある。そして大好きな武道が描かれている。それから、TVアニメのストーリーには、僕が大好きな宮崎駿の影響もあった。僕は宮崎が自然を描くときのアプローチがとても好きなんだ」

映画comより抜粋

しかし残念ながら、続編は作られませんでした。
莫大な予算を投じたにも関わらずCGがお粗末と揶揄され、その年の最低の映画に送られるラジー賞に輝き、劣化版ドラゴンボールとまで言われた内容のうっす〜い映画でしたが、それ以外にも東洋色の濃い作品なのに白人の俳優が多く起用されていたのが原因なんだとか。
監督自身はインドの出身なんで、そこは微妙なんですけど。

松本潤に似てると話題だった主人公のアン

個人的にはどんな人種であれ美形であれば問題なし、作品的にはファンタジックで好きでした。
ストーリーとしての重さというかテーマはあまり深掘りされてなかったけれど、映像の美しさはさすがというか。特に序盤、アンが氷の中から現れるシーンはまさに未知との遭遇。

球体がSFチックで宇宙人が出てきそう

南の水の国の兄妹もネバーエンディングな雰囲気❤️

アンを助ける兄のサカと妹のカタラ


そんな「アバター 伝説の少年アン」の原作アニメ(2005〜2008年までに放送された3シーズン)も、ネトフリで見ることができます。
これが意外に面白くて楽しいんですよ。

「ふしぎの海のナディア」を思わせる日本アニメの作風と「トムとジェリー」のようなアメリカンなノリが親しみやすく、元気になれます😊

アメリカ側から見たアジアの魅力?
日本のアニメかと思うようなキャラ
こちらが「ふしぎの海のナディア」

まだシーズン1の半分くらいまでしか見てないんですが、アジア圏の文化をごちゃ混ぜにしたような設定で、アニメとしての作りも宮崎駿を意識してるのがよくわかって馴染みやすいです。

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そんな中で時代を感じたのが女性の立場

2024年版の実写作品においては「女性が戦士であったり、強いことは特別なことではない」のですが、2005年当時のアニメには「女は男に守られるもの」という気持ちがセリフとして出てきます。
これが日本なら「まあそうね」なんですが、先進的なアメリカにおいても出てくるというのがなんとも意味深。

「兄さんは家事のことは一切私に任せっきり」だと妹のカタラが不満を言い、兄のサカは、女性の戦士に負けて「女に負けるなんて情けない」と悔しがります。

そういう意味では時代は変わったなあ〜というか、世界的にもジェンダーレスが進んでいますよね。
数千年の人類の歴史の中で、多くの国が女性を見下してきたというのに、それをたった十数年で覆すんだから、今の時代の流れって一体なんなんでしょう、凄すぎます。

そんな中、変わらないなあと思ったこともありました。

それは「権力を行使して人を従わせる強者の存在」です。

家庭内においても、学校や職場においても、ヒエラルキーは存在し、強い者が弱い者を虐げています。自分にとって邪魔な人間を精神的に追い詰めても平然と正当化できる自分本位な人たち。

「そんな相手に負けないで!」
言うことを聞かなければ罰が与えられるとしても、強く立ち向かおうとするカタラの言葉には強く励まされました。

今の私がまさにそういう状況、実は、最近職場であったことなんですが。

御局Aさんの一方的な攻撃にムカついて「でも」と口ごたえしたら、「謝らない、反抗的」と同僚や上司に訴えられ、その後、雰囲気が悪くなるので謝ったんですが、冷たい態度を取られ続けています。

攻撃されても黙って我慢するしかないとしたら、それは権力によるハラスメント。

「あなたってすぐ感情的になるわよね」
と言われましたが、反撃できる気力があるうちは大丈夫。
仕返しが怖くて謝るしかなくなったら、それこそメンタルを病んでいる証拠です。

怖がるよりも毅然としていよう、戦えるなら強くいよう。
そう思ったら少し勇気が湧いてきました。

子供向けのアニメですが、その内容には作り手の思いや伝えたいメッセージを強く感じます。子供というのは弱い立場の存在ですから、そこで人を思いやる優しさを学んで欲しい、力に屈しない強い大人になって欲しい、それこそがアニメの持つ影響力ではないでしょうか。

現在、新作アニメの制作も進んでいるそうですが、一体どんな風にリメイクされるのか。今からとても楽しみです。






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