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脱走失敗

 美由紀ちゃんのリハビリ兼ダイエット企画は、彼女にとってベリーハードだったようだ。

 一様 2日間は階段の上り下り(1階から6階まで)を5セットと、2キロのウエートを使ったトレーニングを実行した。

 が  今朝の階段昇降のトレーニングをするため家を出て行ったが、いくら待っても帰ってこない。

 今まで体を動かすのは苦手な方だったから、しょうがないと言えばしょうがない。
 家に帰ったのかと思ったが、とりあえず周りを探してみる事にした。

 家を出て10分もしないところで、道路のど真ん中で四つん這いになった天災少女を発見。

 「何してるの??」と通りがかりの女性に聞かれている。

 「筋肉痛が・・・。体が動かない。」
  「携帯持ってないの?」
 「大丈夫。お家の人呼ぼうか?」と心配そうに聞かれている。

 (まあ、帰りたいなら私は此処で出ない方がいいか。)と思い、10メートル以上離れたところでそのやり取りを見ていた。

 美由紀ちゃんはその女性に脇を持たれ立ち上がると、その前方に私がいるを見つけた。

「助けてください、なつめさん。私が悪かったです。」

ゆっくりと彼女のもとに近寄る。

「君はこんなところで何をしているのかな。」
「へへへっ。脱走失敗しました。」

「お父さんですか?」と美由紀ちゃんにその女性は聞いた。

「はい、そうです。ありがとうございました。あとは大丈夫です。」
(私はいつ君のお父さんになったのかな?)と思いつつ、その女性にお礼を言いこの子を連れて帰ることにした。

「別に無理してトレーニングしなくなってもいいんだよ。私は一度も「やれ」とは言っていないから。」

「なつめさんといると、頑張らなくちゃイケないとおもっちゃうんです。」
「そんなに「圧」かけていたのかな。」

「なつめさんは、一度言った事・決めたことは絶対に完全遂行するじゃないですか。私は昔から三日坊主で、全然だめ娘だから。だから・・・。」

「君と私は同じではないのだから、私が出来る事が 君にも出来るとは限らないでしょ。君は君でいいんだよ。君のペースで行きなさい。無理しなくていいんだよ。」

「はい、・・・そうします。」

「で、どうします。」
「おんぶしましょうか。」
「お願いします、お父さん。」

(う~ん、何故にそうなったんだろう。)と思いながら彼女を負ぶって家路につく。

 いま彼女は体中バンテリンだらけで、ベッドで寝ている。

急がず・ゆっくり生きればいいんだよ、美由紀ちゃんは特にね。


 


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