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可愛いお客様 エンディング

 2日目、
 今日の夕方おじいさんと充希ちゃんの叔父さんが黒までお迎えに来ることになった。
 朝からふたりでお風呂に入り、おめかしをしている。まるでこちらが実家で、おじいちゃんの家にお出かけするかの如く。

 ランドセルなど生活に必要なものを二人で段ボールに入れている。チビ姫は今日は定位置が無いので段ボールの中を探検中。間違って梱包されないように黒猫隊が警備。つきママさんは「うるさいわね」と言う顔をしながら、窓辺で日光浴。

 片付けながら猫さんたちの写メをとっている充希ちゃん。おじいちゃんたちに見せるそうだ。
 充希ちゃんはおじいちゃんや叔父さん達の事を今まで全然知らなかったそうだ。それは充希ちゃんのパパさんが若い時に勘当され絶縁されていたから無理もない話だ。
 前回のお話の時、おじさんは「あのバカ息子とは絶縁したが、孫まで絶縁したつもりはない。この子もあれの被害者だ。だから私が責任を取る。」と言っていた。
 おじいさんの家はお寿司屋さんで、現在は2代目の長男さんが継いでいるとのこと。何故だかわからないが、初見から絶対の信頼を置かれてしまう私。

 部屋から物音がしなくなったので確認しに行くと、チョット疲れたのか大きなクッションにもたれながら眠っている二人と3匹。
 気持ち良さそうなので起こさず、あとは私が片付ける。

午後3時に私の携帯が鳴る。
「これからそちらにお伺いしますが、大丈夫でしょうか。」と
30分もしないでインターホンが鳴る。

お嬢さん二人とも緊張している。充希ちゃんはわかるが美由紀ちゃんは何故に緊張しているかと思いつつドアを開け中に招く。

 手土産にお店で出している特上寿司をいただいた。ダイニングでこれからの事などを話す。
 二代目さんは結婚しているものの、いまだ子宝に恵まれないそうだ。故に充希ちゃんを養女に迎えたいと言っていた。本当は奥さんも来たかったらしいのだが、お店の支度あって断念したとのこと。

 今まで不憫だった分、自分たちが幸せにしたいと言っていた。

「これからよろしく。」とおじさんが充希ちゃんに笑顔で言う。
「お願いします。」と硬い表情の充希ちゃん。

 頂いた寿司をみんなでつまみ談笑していると、「いつでも帰ってきていいんだよ。」と美由紀ちゃん。
 「うん、わかった。」
 二人とも泣いている。たった2日だけの仲とは到底思えない。

「いい娘さんをお持ちで。」とおじいさん。
「ありがとうございます。」(娘ではないが、端からそう見えるなら仕方がないと思いつつ)
 
 充希ちゃんはおじいちゃんに手を引かれ、満面の笑みで家を後にした。

 居なくなった後 美由紀ちゃんは酷く落ち込んでいた。彼女曰く「もっと色々してあげたかったけど、やりたかったことの半分もできなかった。」と。

 「だったら、これからやってあげればいいんじゃないの。これで縁が切れたわけじゃないんだから。」

 「アッ!!  そうですよね。」
暫くして充希ちゃんからLINEが来る。(みんな充希ちゃんにやさしくしてくれること、ゴールデンウイークに遊びに来たいこと。)など、そして最後に美由紀ちゃんと私にすごく感謝していると書いてあった。

 また美由紀ちゃんは泣いている。彼女は今後幸せな生活を送れるのだから、感謝などはいらないのに。

 以上が「可愛いお客様」の顛末です。
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