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NFTとの出会い、web3と音楽の未来像。

昨年のNFTとの出会いは、衝撃だった。

NFTを含むweb3のアーキテクチャがもたらすことは、想像を超えてきた。

最初は音楽に価値をつけることができ、クリエイターやアーティストが自ら収益源を新たに創造することが可能になるという点に着目した。

けれど、実際にやり始めてみると、それどころではなかった。

「ファンとアーティストの間にある神秘性が解かれていく」
インターネットの登場とともに、こう予言したのは、デビッドボウイだった。

NFTの発明により音楽(デジタルデータ)に価値がつき、所有者が明確になる、という点は、その氷山の一角に過ぎなかった。(いや、連峰の中の、一つの氷山の一角に過ぎない)

「作品とは、リスナーとアーティストの間のグレイゾーンで完成して行く。」ボウイはいう。

その感覚は、確かにその通りだ。
透明でないエディトリアルなメディアを通して、作品が届く世界におけるグレイゾーンが、根源的に変化していく。それがボウイの真意と曲解した。

そこに、透明なメディア、筒として、人と人のつながりを生み出すのが、このNFT、あるいはweb3の通奏低音だ、と気づいた時に、”NFT"の尻尾を掴ませた直感の正体を知った。

それらが、ファンとアーティストの神秘を解いていく。
一体その神秘性とやらを解いたら何が起こるのか?
それらをこれから見にいくことになる。


いくつもの点と線が繋がった。

2020年に、自分たちの作品を全てのストリーミング・サービスから取り下げた。
理由はいくつもある。アーティスト自身で作品に値付けができない。これは、あまりにおかしなことだった。曲の長さや、望まないランキングの構造など、細かいところをあげればきりがない。そのような構造を維持しようとするストリーミング・サービスに未来を感じなかった。

その後、自分たちのショップから直接、販売することを実践した。
しかし、何かが、しっくりこない。(もっと本質的な所についてやりたいが、、)

模索の時期が続いた。

2022年6月に、 NFTについて知った。それは藪から棒のことで、"NFT"が一体なんであるかの知識もないにも関わらず、直感がこちらを示した。

一気に学んだ。そしてコレクションを立ち上げ、ツイッターにアカウントを作って、スペースでNFTのクリエイターや、情報発信をするみんなと声を交換した。

この体験が、すでにこれまでの世界と異なる地平で行われていた。
何か、不思議な懐かしさと新しさに満ちた空間が、web3というアーキテクトの上で起こっている。

その後、Ethereumの成り立ち、Aya Miyaguchi氏が示す"Infinite Garden"というビジョン、あるいはJoi Itoを通して感じるインターネットの当初の夢。それらに出会いながら、改めてインターネットというものが、この地球にもたらしてきたことに思いを馳せた。

web1 にせよ、web2にせよ、人々は、よりフラットで自由な、サイバー空間を作ろうとしながら、その当時の感覚で、できうることをやってきた。

インターネットは、世界を覆ったが、同時に、その爆発的な進化の中で、
古風なやり方や、中央集権的な昔な感覚がそこには蔓延ることにもなった。

そこで、救い取れなかった部分を、web3の流れで、人々は本気で、やろうとしている。

その一つの思想的な動きが、自律分散型という言葉に集約されるのであろう。

ここで一つ脱線するが、英語で、この自律分散とは、「Decentralized Autonomous」の訳語である。
日本語に訳した時、自律分散ということになった。
そして、この同音異義語として、自立分散という言葉がある。
それら同じ響を持つ自律と自立が、一体何を意味するのか、それらはきっとこの先の日本でのweb3の展開がその答えを導くことになるだろう。

話は戻るが、なぜこの自律分散のビジョンに、熱くなれるのかというと、人はそれぞれの人生の場面で、カフカが城で描いたような、不条理に直面してきたからかもしれない。
これまでの数千年は、きっとそうであっただろう。
不条理が生まれるのは、ズレである。中央集権的な構造を持つ世界において、この不条理が生じる構造的な要因がどうやらあるようだ。

それらに気がつき、この地球をよりスムースに個人と個人がフラットに、トラストレスに、あるいはパーミッションレスに、関わることができた時に、これまで人類が肉体を持って経験したことのない「名前のないフィールド」が立ち現れる。

それを、世界が直感している。

集合的な人間の深い意識の部分が、地球の生物圏全体の意識が、響き合っている。

「それは、ファンタジーだよ」
と、言う声が荒っぽく、空疎に聞こえてくるかもしれないが、心に問おてみる。

「これは、リアルファンタジーだよ」

この声に、導かれれて、この新しい地平の開拓者たちは、互いに共創することになる。

それが、今、ここで観測される未来の一端である。

Essay by s.shinta 2023/1/18 19:18


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