そして僕は途方に暮れたくない

 まるで高橋幸宏さんの後を追うように、坂本龍一さんも向こうへ逝ってしまった。

 自分より歳上なんだからそれが自然の摂理というものなのかもしれないけれど、親や恩師や先輩や上司とか、たくさんのことを学び育てていただいいたり、人生に多大な影響を与えてくださった方々はたいていみんな歳上だ。その誰もがかけがえのない人たちで、絶対に失いたくない人たちでもある。

 自分は2002年に次々と母と父を亡くし途方に暮れた。もしあの人が居なくなってしまったら、必ずまた途方に暮れるに違いないと思う方が、まだたくさんたくさんいらっしゃる。彼らは幸いにもいまはまだ元気だけれど、その日はいつかやってくる。夜になれば朝が必ずやってくるように。

 そのうち会おう、いつか連絡しよう、きっといつかまた話せる、そんな風に呑気に構えるのはもうやめようと思った。ご冥福なんてちっとも祈りたくない。その前に、自分の言葉で直接きちんと、これまでの感謝や想いを伝えておきたい。

 母が亡くなった歳まであと5年。お正月も桜もお彼岸もクリスマスもあと5回。せめてそれまでには、取り返しのつかない後悔や悔いの残らないよう歩み生きていきたいな。

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