広告電通賞 心に残った広告集「SDGs編」
日本で最も歴史ある総合広告賞「広告電通賞」
先日発表された2022年の受賞作の中から、私の心に残った広告を、私なりの分類でご紹介していくnoteの「SDGs編」になります。
「前編」では、サントリーHDやホンダのF1の広告、油断せずとも涙してしまうMovieなどなども紹介していますので、いま泣いても大丈夫な方、ぜひこちらもご覧ください。
SDGs、とタイトルでは書きましたが「企業が社会にできるアクション」という切り口で集めました。
もう懐かしい、今では定着した事例も多いかと思います。
企業が社会にできるアクション(SDGs)
日清食品HD/カップヌードル「カップニャードル」
2020年の2月22日、そう、ネコの日に見たこのツイート。
もふもふの動物好きにはたまらなかった、このアイディア。面白いなぁ〜と当時思っていたのですが、まさか、現実になるなんて…と驚きました。
なんと『年間33万トン』ものプラスチック削減になるそう!
年間33万トンって!?
イメージがつかず調べたところ、ある有名商品会社の取り組みでは『年間3000トンを削減』と紹介されていました。こちらもすごいと思いますが、その110倍!!その量の多さは感じました。
この「カップニャードル」、広告が優れているというよりも、
・商品に近いところで社会のためになっている
・私にとって喜ばしい、楽しいものになっている
・その取り組みがブランドらしさの延長線にある
という点が素晴らしいと感じています。
加えて
・2020年から続く一連の活動が私たちを巻き込んだ物語になっている
ことも、強く印象に残った理由の一つでした。
「広告ではなく、コミュニケーションを考える」
ということを改めて納得させられた事例でした。
詳しくはこちらにも書かれています。
日本ハム/シャウエッセン「シャウエッセン断髪式」
もう一つ、大きな話題になった事例を。
見た目も形も、ある意味、エビフライのしっぽのように。
美味しいウィンナーの「らしさ」の一つでもあった、この扇。
「プラスチック使用量を削減して、エコなパッケージに変わることを話題化したい」というオリエンを受け、
パッケージの巾着部分を、力士のまげに見立てるというアイデア、そして相撲協会にも依頼して作り込まれた断髪式を行うなど作り込んだ世界観のギャップに、つい見入ってしまいます。
この企画が端的に紹介されている記事も添えておきます。
Mizkan 鍋つゆ「B面レシピ」
「たしかに!」と問題提起に頷いたのは、こちらの企画でした。
ほんと、そうなんですよ!特に白菜、冬はいいんですがそれ以外の季節に鍋を食べると、余ってダメにしちゃうんですよね。一人暮らしなら、さらにそうですよね。
端的に言えば「残り物食材を、別な料理に使うレシピ提案」なのですが、
そこに「B面レシピ」というちょっと引っかかりがあり、理由を聞いて納得できるネーミングをつける、秀逸ですよね。
*B面、30代以上はわかりますかね。どうでしょう?
広告にとどまらずプロジェクトとして、例えば大学生とコラボしながら、メニュー開発を続けている点も、飽きさせずにいいなと思いました。
味の素/企業「保存新聞」
最後は、媒体の特性をからめた、活動を。
新聞で包むと、長持ちをする野菜があるそうです。
「野菜を包む新聞広告」、今回初めて知りました。
https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/cm/newspaper/pdf/2022_5.pdf
引用:味の素HP
*リンクをクリックしていただくと広告が表示されます。
*別ページに飛び、戻ってくるお手間おかけします。お待ちしてます!
ちょうど10年ほど前にも、同じ切り口での広告がされていたようですが、
今回は「新聞紙を活かす」という提案まで含まれていて、「メッセージよりアクション」という、バージョンアップを感じました。
もう一つ。
今回初めて知ったのは、味の素さんが、広告を高解像度で紹介してくださっていること。CMなども見れますが、新聞広告や雑誌広告がここまで綺麗に見れるのは珍しいと感じたので、ご紹介します。
最後に「SDGsはアクション×私にも嬉しい、を」
よく言われることではありますが、
広告でいいことメッセージするということではなく、
社会にいいことをアクションして、それを広告にしていく、もしくは広告自体を何かいい使い道のあるものにすることが大切ですし、
社会にいいことすればわかってもらえる、と考えるのではなく、
それがブランドらしく、時に楽しくチャーミングに、時に身近な問題解決として、消費者に自分ごと化することが大切ですね。
(もちろん、広告にせずとも、社会にとっていいことをするのは大切なのですが)
「モノづくりから、価値づくりへ」
といった、シフトと同じように、
「社会に正しい、から、私にも嬉しい」
といったシフトが、
SDGsと呼ばれる取り組みには
さらに必要になってくるのかもしれません。