ワクドキ☆浴衣あしび〜
コラム「ワクドキ☆浴衣あしび〜」
夏、きれいに浴衣を着こなしてお出かけしている女性や殿方を時折目にする。 とてもお洒落だと思うし憧れる私。影響され、数年前から暑い日の夜、ごくたまに浴衣を着て外出するようになった。 ユチューブにアップされた着付けの動画を参考に、バランスがゆがまないような着方や帯の結び方数種類を勉強したものである。友人からは「きれいに着れてるね」と褒めてもらったりするのだが、他人からは祭りでもない日に浴衣?と好奇の目で見られることも多い。
思えば日本人が普段着として和服を着なくなって100年近くたっているわけで、しょうがないことかなとも思う。日本人の皆さま、もともと浴衣だったものが時代とともに寝衣になり、今では外出着になった浴衣は夏日に着るもので、お祭りの日しか着ちゃいけない決まりはないそうですよ。むしろ冬に着たければ着ていいんじゃないかな。
時に浴衣を毎回ちゃんと着こなせるかどうか少し緊張してしまう理由が。 少し前ネット上で話題になった「着物警察」の存在だ。街中を歩いている着物姿の他人を捕まえ「あなたの着方おかしい!」と面と向かって指摘したり、「着崩れてみっともない、私が直してあげる!」と無理やりトイレへ連れ込み、帯を解いて着付けようとするような人が世に少なからずいるというのだ。トイレへ連れ込み無理やり着替えさせるなんて明らかに犯罪である。自分のこだわりや美意識を他人に押し付けることの迷惑さといったらない。100年以上前の着物姿の人々の写真を見てみても、おのおのが好きなように着崩れた感じで着こなしており、私にはそれが格好良く見えるのだが。
実際数年前、訪れた松山のスナックにて浴衣姿の私は泥酔したママにとっ捕まり「帯の結び方ダメよ、私がしめ直してあげる!」と貝の口結びをした帯の手先の部分を力いっぱいひっぱられ(これが着物警察ならぬ浴衣警察!男相手にも容赦ない!) と心底怖かったものだ。結果「スーパーで売られてるアサリよろしく口をニュルニュル伸ばしてる貝の口結び」が出来上がった。無念。
今現在では普段着として着物にブーツの組み合わせでクールにキメる人も一定数いるらしい。実に最高だと思う。私もそれくらい和服をお洒落に着てみたい。
(2022年8月18日沖縄タイムス「唐獅子」にて発表)
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