いつのまにやらゲーム新時代

コラム「いつのまにやらゲーム新時代」

 きたるクリスマス、子や孫へゲームをプレゼントする予定の方も世の中たくさんいらっしゃることだろう。
 思い返せば「漫画ばかり読んでるとバカになるよ」だの「テレビゲームばかりやってるとロクな大人になれないよ」とさんざん言われていた迫害の時代から数十年、今や漫画やゲームは日本を代表する立派なカルチャーとなった。 コンピューターゲームをスポーツ競技とする〈eスポーツ〉という職業の台頭も衝撃的である。
 30歳をとうに超えた私は、今でも同世代の友人らとスーパーファミコンやニンテンドー64の思い出話で盛り上がったりすることがある。子ども時代、まさか30歳を超えておじさんになった自分がスーパーファミコンの話題で同年代の人々と酒を交わしながら盛り上がることになろうとは想像もしていなかった。ねえ、あの頃の自分…おじさんになるとはそういうことらしいよ。
 そんな世代が大人になってきた時代だからか、近年では漫画やゲームを子に買い与える家庭も多いと聞く。「漫画は感性を豊かにしてくれる」「子ども時代自分もテレビゲームをしていた。だからゲームが子どもに悪影響を与えるとは思えない」といった考えの親御さんも今では多いのだろう。
 昔はテレビゲームといえば、部屋に閉じこもって自分ひとり、または友人とふたりで狭い世界をとことん遊ぶだけのものだったが、インターネットが出現し数十年たった今、ゲームは全世界のプレーヤーと通信交流をしながら遊べるものへと変化を遂げた。 インターネットは日常のコミュニケーションや仕事の形態だけでなく、ゲームの形態までも大きく変えてしまったのである。いやはや驚き。
 さらに私が驚愕するのは、テレビゲームを構えた若者向けのバーを近年よく目にするようになったこと(会話を楽しむ社交の場にテレビゲーム? ゲームなんてバーでやるものじゃないでしょ)と思う人も多いだろうが、我々から年下の世代になると、ゲーム対戦している間は対戦相手と楽しみ、抜けた後は会話モードに切り替え、どちらにも入れない時間はスマホを見ながらの飲酒モードに切り替えるといった芸当ができたりするのである。 そんな場所も増えていく時代になったのだろう。
(2022年11月24日沖縄タイムス「唐獅子」にて発表)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?