ぃよ!世界のNIPPON!

コラム「ぃよ!世界のNIPPON!」

 〈日本の要〉ともいわれる沖縄に住んでいるとよく見える光景なるものがあると思うが、日本という国がよく見える場所というものが海外にあるとしたら、それはどこだろうと考える。バブル時代を謳歌し「わが国は先進国」などという幻想を見たのち、今までいったいドコや何を見て過ごしてきただろうか。よく「日本ほど安全で暮らしやすい国はないよ」と聞くが、〈世界の国民自殺率 ワースト6位の安全な国〉というのも滑稽である。
 またついこの前まで中国人観光客のマナーの悪さなるものを世間は非難していたが、バブル期だった40年前は全世界で日本人観光客のマナーの悪さが話題になっていたと聞く。案外今でも日本人観光客の酒癖の悪さは海外で問題になっていないだろうか。 なってそうな気がする!
 かつて私はコーラスグループ〈ンジャミ〉のメンバーだった。グループは年に1度海外公演としてインドネシアやマレーシアへ行くことがあり、その経験は私の財産のひとつとなった。
 ジャカルタのホテルにて三線を手に「安里屋ユンタ」を披露すると、インドネシアの人気バンド〈Ten2Five〉のボーカル、 イメルが「そのマタハリヌチンダラカヌシャマヨって歌詞 そのまんまインドネシア語ですヨ!」と教えてくれた。いつも片仮名表記のその歌詞の意味を私はそれまで真剣に考えたことがあったろうか。てっきり何かの呪文かと思ってました、恥ずかしい。
 当時はインドネシアの他にタイやラオス、フィリピンの歌手らと楽しい話ができ、地元の大学生らとも実に興味深い交流もできた。
 それから15年経つが、私は今でも東南アジアの国の人々、特に若者のバイタリティーやパワーには圧倒されるばかりだ。自国語と英語をしゃべれてそのうえ日本語の勉強にも熱心な者が多い。根本的に視野が違うというか、つくづく私は(人間が違う)と感じるのである。
 出会う若い人が海外に興味を持っていたりすると、私は短い旅行でも構わないからぜひとも東南アジアへ行ってみるよう勧める。(日本は広大なアジアの中の小さな国でしかない)という自覚を持ってほしいのだ。日本の教育においてもアジア国際交流カリキュラムを多く導入してほしいと願う。
(2022年12月8日沖縄タイムス「唐獅子」にて発表)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?