小学生の金言
コラム「小学生の金言」
白状するが私は学童クラブの指導員を10年以上やっており、普段小学1年生から3年生までの児童らを見ている。全国における学童指導員や保育士への待遇、給料の低さへの不満などをグチグチと記したところで、きっと読者もゲンナリすると思うので…ここはあえて別のことをつづることにする。
ずっと文芸をかじっている私からすると、子どもの言葉のセンスには侮れないものを感じる。 まだ何にも染まっていない感性、まだ多くの言葉を知らないゆえの天才的な言い回し、さすが子どもというべきか。そこで今回私が職場で長年にわたり書き留めてきた、児童らの口やペンから飛び出してきた数々の名言金言の中から厳選したベスト5を紹介してみる。
【5位】 2年生の女子が映画「アナと雪の女王」について友人ら数人と話していた際、私に対して尋ねた確認。
「エルサは冷え症だから氷を出せるんでしょ?」
冷え性の人が皆手から氷を出せたら楽しいですね。
【4位】1年生男子が己の兄弟と喧嘩をしていた際に相手をののしるため吐いた暴言。
「だまれっこのギョーザのシソ!」「骨なしライダー!」
ひとをギョーザのシソに例えようと思うその心意気に先生は乾杯したい。それに骨なしライダーとは。タコ野郎とかタコではなく。
【3位】皆が学校の宿題にとりかかっている時間、ふらりと2年生男子が私のそば側へ来て手を握りしめそっと耳元にささやいたセリフ。
「先生、今ここで脱皮して・・・」
脱皮できません。私は人間です。
【2位】 1年生男子が学校の宿題のプリントにて〈漢字の読み仮名を書きましょう〉の問いにて書いた答え。
「お父さんの赤い車」
ぱんつと読む漢字があるなら私はぜひ知りたいです。
【1位】3年生男子が黙々と宿題を片付けている最中突如手を止め真顔でつぶやいた言葉。
「俺のチンコが爆発した」
大変ですね、男の子。
以上である。個人的に思うのは、2年生男子の創造性があたまひとつ出ているなというのがある。また男子女子問わず、自分のロッカーに脱いだ靴下を大量にためこもうとする謎の習性の解明にも今後努めていきたい。
(2022年12月22日沖縄タイムス「唐獅子」にて発表)
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