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しんたろうの詩
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2020年10月の記事一覧

悲しみがやってくる

詩「悲しみがやってくる」

わたしはこないでと言った
あのひとはわたしが呼んだからきたと言った
なんでわたしは呼んだのと訊いた
わたしはあのひとの下着を指で噛んでた

全ての微笑みのうらに悲しみは立ってた
わたしがいま見ているこの景色もきっと悲しみは見ている

わたしがいつまでもふりかえりながら
歩いていける為にあのひとは居た

(2015年5月ブログ「NёüT♴」にて発表)

地獄

詩「地獄」

あんさん、はよぉ宿題片付けなはれや。
そやないと、おやつ抜きになりますえ。

そないに泣いてもどうにもなりまへん。
その気ぃあるならうちの屍越えてって。

どない願うたところでここに警察はいてはらへんで。
どない目ぇ擦ったところで、地獄は所詮地獄どすえ。

やまユリ

詩「やまユリ」

この道をまっすぐおりていけば
まちへ出ますので足元にはお気をつけて
こんな日ですから月もみえませんが
途中やまユリが咲いていることと思います
摘んで帰られるとよろしいです花弁を
捥いでいくたび命が死ぬことを想って
どうかわすれてくださいまし
今夜わたしとしたことは

(2018年8月松原敏夫個人詩誌「アブ 第22号」にて発表)