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しんすけの読書日記 『三人の逞しい女』

こんな素晴らしい本があることを、三年も知らなかったことが悔やまれる。

素晴らしいと感じたのは、深刻とも言うべきスト―リを快く受け入れさせる雰囲気が漂ってくるからに違いない。それはプルーストを思わせて瞑想的である。やはりフランスの小説だ。

作者はセネガル人を父に持つ女性で、本書もセネガルを想像させる場所が数回描写されている。

息の長い文章はその熟成をも忍ばせるが、処女作は十七歳で発表している。早熟だが、そういわせないものを感じさせた。
久しぶりに小説を堪能した。そうした中に浸っている読書だった。

物語は三人の女の話で綴られる連作だ。

身勝手な父親といがみ合うノラ。
ルディがフランスに連れてきた妻のファンタ。
移民のような運命に翻弄される若い女カディ・デンバ

題名に「逞しい」とあるが、実際はそうではない。肉体的に精神的にも。
カディ・デンバに至ってはその苛酷な運命に読んでいて胸が痛くなる。どこに「逞しい」といえるのかと言いたくもなった。

だが与えられた運命を拒否せずに生きようとする姿を介間に見せる。
それが、あまりにも僅かであることが「逞しい」に繋がるのかもしれない。


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