夏 第417回 『魅惑の魂』第2巻第3部第97回
「愛するということがよく解ってないんじゃないですか? だからそう思うんでしょう」
「わたしは知ってます。だからわたしは逃げたんです。あなたを憎みそうでしたもの」
「そうなんだ! だったらもっとぼくを憎んでほしい! 憎むことは愛の一つ表現ですからね」
「わたしは違う」彼女は言った。「それはわたしには耐えられないことですもの」
「あなたは、幸福な恋に浸れるのだから、苦しい恋に耐えられないほど弱くはないはずです」
「ええ、わたしはそんなに弱くはありません、フィリップ。 わたしが欲し