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雲の上に広がるオートキャンプ場。圧倒的なポテンシャルを秘めた高原の魅力を伝えたい!

キャンプや登山など、アウトドアの人気が高まっている今。都市部に近く手軽に楽しめるキャンプ場やアクティビティもいいですが、あえて日常から遠く離れた場所で、大自然にどっぷり浸る体験をしてみませんか?

信州つなぐラボの舞台となるのは、須坂市の五味池破風高原自然園。須坂市の中心地から車で約50分のところにあり、オートキャンプやトレッキングを楽しむことができます。

標高1,600mから雄大な景色を一望できる絶好のロケーションでありながら、地元の人たちにもあまり知られていないような穴場スポット。

そんな場所に魅せられたのが、地域おこし協力隊として五味池破風高原自然園でオートキャンプ場を運営する上田慎也さんです。

地域おこし協力隊の上田さん

信州つなぐラボでは、「アウトドア」をテーマに、上田さんと一緒に五味池破風高原自然園の体験プログラムや情報発信について考えます。

今回は、上田さんに五味池破風高原自然園での取り組みや今後の課題を伺いました。

偶然が重なり、移住を決意

上田さんと待ち合わせたのは、今年3月にオープンしたばかりの五味池破風高原総合案内所です。総合案内所があるのは、須坂市の中心市街地から車で約10分、豊丘地区という山間の集落の中。破風高原に行く道筋にあります。

豊丘地区にある五味池破風高原総合案内所

この総合案内所に併設された「たこ焼き喫茶」には、地域の人たちが次々とたこ焼きやホットサンドを買いにやって来ます。どうして、この場所をつくられたのでしょうか?

上田さん「破風高原は標高が高いので、そこに行く手前に何かがないと利用者を増やせないと思ったんです。それに、この辺りには子どもたちが友達と集まったりおやつを買ったりするお店がないので、そんな場所にもできたらと思っています」

近隣市町村に暮らす人たちにも、その存在をあまり知られていない破風高原。ただ、豊丘地区の人たちにとっては、これまで守り継いできた特別な思い入れのある場所だそうです。この総合案内所にも、地域の人が持ってきてくれたという破風高原の写真が飾られていました。

2021年9月に大阪から移住し、地域おこし協力隊として活動を始めた上田さん。そもそも移住のきっかけは何だったのでしょう?

上田さん「もともとキャンプやアウトドアが好きだったんですが、前職では仕事が忙しく趣味の時間もなかなか取れなくて……。週末に近場でキャンプができるような場所に住みたいと思って、移住を考え始めたんです。そこで、たまたま長野県が移住の制度が整っていると知って、大阪にある長野県の出張所に相談に行きました」

その相談先で「山も近いし、雪も比較的少なくて住みやすい」と須坂市をおすすめされた上田さん。そこで、須坂市役所に問い合わせみたところ、このオートキャンプ場の運営を担う地域おこし協力隊を募集していることを知ります。

そんな偶然が重なり、破風高原を訪ねてみることにした上田さんは、そのロケーションに一目惚れ。大阪での仕事を辞め、ご夫婦での移住を決めたそうです。

雲の上のキャンプ場へ

いよいよ、上田さんがそのロケーションに心動かされたという破風高原に向かいます。しかし、あいにくの雨。

上田さん「破風高原は雲の上にありますから、ここで雨が降っていても上は晴れていることもありますよ」

霧雨の降る中、カーブの多い山道を40分ほど車でのぼっていくと、急に視界が開けた場所に出ました。

五味池破風高原のオートキャンプ場

オートキャンンプ場のある破風高原に到着。そこは上田さんの言葉通り、雲の上にあり、晴れ渡っていました。携帯の電波もほとんど入らず、実際にかかった時間以上に遠くにやってきた感覚になります。

上田さん「登山もトレッキングもできるし、日帰りで散策だけしてもらっても楽しめると思います。でもやっぱり泊まらないと見られない景色というのがある。雲海や夕日も美しいし、市街地の光が入らないので星空もめちゃくちゃ綺麗です」

携帯の電波が一部のエリアに入らないことも、上田さんはポジティブに捉えています。

上田さん「最近のキャンプ場って電気が使えたり、何でも整っていてすごく便利なんですよね。それに、困ったら何でもスマホで調べてしまいます。でもここは電気もないし、電波もないから全部自分たちで解決しないといけない。こういう本来のアウトドアを楽しめる環境って、なかなかないと思うんです」

一方、オートキャンプ場には、バリアフリーの整ったトイレや避難小屋があるので、アウトドア初心者から上級者まで様々な楽しみ方ができそうです。

地域の人たちが守り継いできた自然

オートキャンプ場からさらに100mほど上がると、周囲の山々や善光寺平が一望できる場所にでます。見る人を圧倒するような絶景です。

ただ、そこまで行くための登山道は笹が刈られ、ずいぶん歩きやすいことに気づきます。これらも全て、上田さん一人で管理されているのでしょうか?

上田さん「ここは豊丘地区の人たちが、財産区として自分たちで登山道を整備したり自然環境を守っていらっしゃった場所です。8年ほど前から、ここをキャンプ場に使えたらいいんじゃないかと自分たちで整備もされていたんですが、皆さん他のお仕事をしながらなので、なかなか本格的に運営できておらず、協力隊を募集することになったそうです」

豊丘地区には、この五味池破風高原自然園を守る活動をする財産区という組織があり、地区から財産区の議員として8人が選ばれ、この場所の環境を守り継いできました。

上田さん「財産区議員さんの中には大工さんや花屋さんなど様々な職業の方がいるので、山や花の知識や水回りや建築に対する知識など、たくさん教えていただいています。この辺りは25年前まで放牧場で、たくさんの人で賑わう場所だったそうです。財産議員さんたちもこの場所が好きで、あの頃の賑わいを取り戻したいと、思いのある方ばかりです」

この日も財産議員さんがボランティアでトイレの修理に来ていました。

圧倒的なポテンシャル

地区の皆さんからのあたたかい応援もありますが、まだまだキャンプ場としては知られておらず、利用者は少ない状態。その利用者も、近場の人よりも関東圏のコアなキャンパーの方が多いと言います。

上田さん「ちゃんと情報発信をすれば、全国に通用する場所だと思います。でも同じ須坂市内に住んでいる人でさえ、ここを知らなかったり行ったことがなかったりする人が多いのは、もったいないなと思っていて……。それに、季節ごとの高山植物も美しく、登山道も整備されている。今はオートキャンプ場として発信していますが、登山やトレッキング、森林浴など、本当はもっといろいろな楽しみ方ができる場所だと思っています」

見る人を圧倒するような絶景が広がる破風高原。そうかと思えば、白樺の森をながめながら、ほっと一息コーヒーが飲める管理小屋もあります。さらに、管理小屋では、ジンギスカンを注文して、その場で焼いて食べることもできます。

この場所が生かされていないのは、もったいない。そう強く感じている上田さんは、この場所の価値を伝えていくには、手が足りていないと感じるそうです。

上田さん「子どもと一緒に家族で気軽に来て楽しめる場所と、何も手を加えずコアなキャンパーが楽しめる場所とうまく使い分けができたらと考えています。他にも、地元の小中学生の課外学習などで使ってもらえるといいんじゃないかなと」

信州つなぐラボでは、地域の方たちと対話しながら、この場所の可能性を最大限に活かす、体験コンテンツやプロモーションのあり方を考えていきます。

地域の人たちが大切に守り継いできた破風高原。市街地から1時間弱で標高1600m以上の雄大な自然環境にアクセスできる国内でも希少な場所です。
この場所の価値を掘り下げ、伝えていく方法を、一緒に考えませんか?

信州つなぐラボのプログラムの詳細はHPをご覧ください。

写真:小林直博
聞き手:藤原正賢
執筆:大宮まり子


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