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「産業」のこれから/第3回

皆さんこんにちは。
「産業のこれから」を担当するファシリテーターの倉田と矢作です。

産業

12月15日開催のテーマ⑤「産業のこれから」グループで議論が行われました。
前回に引き続き、企業向けコンサルタントの方や観光コンテンツの企画に携わる方、大阪のテレビ局勤務の方等多彩な分野でご活躍されている方にご参加いただきました。

今回のテーマ議論の問いはズバリ…
「ビジョンと方向性をまとめ、自身がそこにどうコミットできるか」です。


第3回では、会議開始前にファシリテーターがこれまでの議論を振り返り、第1回と第2回で話し合われた内容をとりまとめ、そのとりまとめ(案)に対する参加者の皆さんからの意見とそれに対する一人ひとりの行動宣言を発表してもらいました。

第1回と第2回で話し合われた議論のとりまとめ(案)

現状認識(コロナで変わったこと)
第1回 コロナを経験してわかったこと
・消費者の需要が量から質へと変化した
・大規模を追わず、ターゲットを絞っていた企業は打撃が少なかった
第2回 新たな日常に向け工夫したことでわかったこと
・変化に対応できた事業者とできなかった事業者に分かれた

                 ↓

産業のこれから
時代も環境も変化が予測できない社会に。レジリエントな「産業」の稼ぎ方とは。
① 量から質への転換により「刺さる」サービスを。生産過程の質を付加価値に。
② 地域やセクターを超え、多様な関係者を巻き込み、その組み合わせから強くしなやかな地域産業を構築していく。
③ 一時的に回復する需要に惑わされない。「その先」に対応した産業へ。

このとりまとめ(案)に対し、次のような意見がありました。


【全体について】                                  ・“長野の強み”をキーワードとしてもっと盛り込めないか。長野県の自然の要素を盛り込めば、新しい産業の形がありそう。
→県が出す宣言の中で、長野の“強み”として重点をどこかに置いてしまうと、他の産業を置いていくように解釈され批判を受ける可能性があるため難しいのではないか。強弱として表現するのではなく“特徴”といった方がいいような気がする。健全な競争・淘汰のもと、“好きな人が好きなことをやる”体制を支援・構築するといった方が、自由度が高くやりやすいように感じる。
・いくらオリジナリティがあって、独占している産業があっても、最低賃金を下回るビジネスは持続的ではない。そして利益を、生産プロセスのコストカットによって生み出すのではなく、価格自体を上げることで生み出すという発想になることが理想的。賃金を上げていく発想にすることを地域内に波及することを期待する。
【とりまとめ(案)「産業のこれから」①について
・地方に行くほど事業者が少なく、競争が起こらないため、昔からいる事業者が市場を独占する状態になりがち。ある意味、オリジナリティのあるビジネスを確立しているともいえる。その代わりに無いものも多いため、その空白で新しい人が新しいことを始めやすい環境はあると思う。その空白を活かしたい、入り込みたい人たちにとってはすごくチャンスだと思う。
・新たな取り組みをやろうと思った人がのびのびできる環境づくりも大切。
【とりまとめ(案)「産業のこれから」②について
・市場において健全な競争は必要なもの。競争が減ると企業努力がなくなり、よりよいものを生みだそうという意識が低くなる。積極的な競争関係を構築する、とした方が「しなやか」で「レジリエント」な産業づくりには資するはず。
・前回の議論で、小規模事業者の新しい取り組みを大規模事業者が支えることで共存できないかという話が出たが、大規模事業者にとっても、小規模事業者を支えることに明確なメリットがないとこういった形は難しいのではないか。小規模事業者からも自分たちを売り込む必要がある。
【とりまとめ(案)「産業のこれから」③について
・今後コロナ感染が収束しても、オーバーツーリズムが起こるイメージが湧かない。本当に価値のあるもの以外に単純にたくさんのお客が集まるのか。日本国内では今までと同じようなところに戻るようなイメージをする。
・「一時的に回復する需要に惑わされない」という表現について、一時的と分かっていてもその需要を掴みたい事業者もいるだろう。「惑わされない」と言うとそこに乗る人を悪く言ってしまうようなニュアンスを含むため、その人たちの自由も確保した表現にした方がよい。ただ、考えなしに乗っかるのではなく、後先考えたうえでのっかることが重要。
視座を養うことはとても重要なことだと思う。世界で人口が増加している地域に目を向ければ、生きていくのに必要な農業は拡大市場だと考える人もいるし、高齢化は基本的には悪く捉えられがちだが、葬儀業者からすれば需要が増えていくことになる。様々な視点に立って物事を考える感覚はとても大事。また、一つの産業の中でも自分の興味・得意分野がどこで活きるかを見つけ選択できることが必要。そのためには、いろいろなものを見る・知ることが大切。
【特に重要なポイント】
・質をとるビジネス、量をとるビジネス、プレーヤーが選択できる自由があることが重要。プレーヤーは、それらを選択するための視座を養うことが必要。
・事業者間の健全な競争環境を推奨する。その中でのポジティブな協働淘汰再参入が活発に行われることを期待する。コストカットの発想ではなく、いかに価値を上げていくかの発想に転換し、波及していくことが望ましい。
・産業において“長野県の強み”や“地域の強み”を行政的にステレオタイプとして示すことは、他業界を軽視するようなニュアンスを含み伝わる危険性がある。強弱で示すのではなく、あくまで“特徴”を示す

以上の議論を踏まえて、とりまとめ(案)を再編集し、以下の形に修正しなおしました。

産業

現状認識(コロナで変わったこと)
                                  ①コロナを経験してわかったこと

消費者の需要が量から質へと変化した
パッケージ型の「大量生産・大量消費」が通用しづらくなり質的な付加価値をもったカスタム型へ注目が高まった。観光においては人気スポットへの大量集客が難しくなり、地域内・少人数での旅行が注目されるようになった。
大規模を追わず、ターゲットを絞っていた企業は打撃が少なかった
多くの人に人気なわけではないが、ターゲットを絞り、強い結びつきのある顧客を獲得していた事業者は、コロナ下でも顧客があまり離れず、打撃が少なかった。
                                  ②新たな日常に向け工夫したことでわかったこと
変化に対応できた事業者とできなかった事業者に分かれた
感染拡大から2年近く経過したが、緊急対応後に今後の戦略を考え、変化に対応しようとした事業者は比較的打撃が少なかった。

           ↓

産業のこれから
時代も環境も変化が予測できない社会に。レジリエントな「産業」の稼ぎ方とは。

                                  ① 量から質への転換により「刺さる」サービスを。生産過程の質を付加価値に。
多くの人の興味を引くことを狙うのではなく、他者と競合しない個々の強みをそれぞれが見つけ、狙ったターゲットに深く刺さるサービスを提供する。独自の地域資源を活用して生産過程の質を付加価値にする。決して大きくないが個性的な取組みを知らせ、享受者とつながる媒体として、オンラインを使いこなしていく。
                                  ② 地域やセクターを超え、多様な関係者を巻き込み、その組み合わせから強くしなやかな地域産業を構築していく。
農林業者・観光業者・住民など、地域を題材として多様な関係者を巻き込み協力しあう。地域に根ざした事業者による新しく個性的な取組みと豊富なノウハウを活かしてスケール化・持続化できる事業者との組み合わせから、健全な競争関係を構築し、状況の変化に対応できるしなやかな産業をめざす。
                                  ③ 一時的な動きだけでなく「その先」を見通すチカラを養う。
コロナ収束後、一時的に需要のリバウンドが想定されるが、単純にそれに合わせて人材や物資を確保すると、需要が収まった際に供給過多となる。また人口減少は悲観的に語られることが多いが、それが追い風になる業界があるのも事実。あらゆる産業の従事者は、需要の大小に関わらず長期的に物事をとらえ、柔軟な戦略を立てることができる「視座を養う」ことが重要。


最後に参加者の皆さんから、ご自身の行動宣言をしていただきました!

産業行動宣言スクショ

・「地域循環共生社会」をめざす(自然×産業×まち・地域づくり)
・新しい視座を養うために、新しい出会いを作る!(毎日、毎週、毎月)
・(地域の憩いの場となるような)小商いをひとつはじめる


〈信州これから会議 ご意見募集〉
ワークショップには参加できないけれど、ぜひ自身の声も届けたい、発言したいという方は、ぜひコメントにてご意見をお寄せください。
ワークショップの参考とさせていただきます。
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※投稿いただいたご意見等に個別に回答は出来かねますので、予めご了承ください。

総合ファシリテーターによる 第3回の全体まとめはこちらから


【第3回のワークショップを終えて】

倉田

倉田 早希長野県 企画振興部 総合政策課 統計室
③について具体的な事業者の心得や考えられる対応方法などを話したかったが、需要に乗ることも否定してはいけないという意見が出たあと、そこをあまり深めることができなかったことや発言量に差が出てしまったことが反省点です。

矢作 文スポ

矢作 郁瑠長野県長野地域振興局林務課
隣のチームと一緒になって初めて話をしましたが、各チームの議論の共通点を見つけることがとても難しかったです。同じテーマについて話をしていたのに、こうも違うのかと驚きました。守る産業と攻める産業、2つの側面があることを実感しました。

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