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「モノクローム・ロマンス文庫」とは? 欧米BL小説の翻訳専門レーベル、ニッチな萌えの誇り

初めまして、「モノクローム・ロマンス文庫」と申します。欧米BL小説の翻訳が専門という、なかなか珍しいレーベルです。主にコミック・パフォーミングアーツ・フィギュアスケートの関連書籍/雑誌を出版する、弊社 株式会社新書館が刊行しています。
マガジン初となるこの記事では、レーベルの特徴など「そもそもモノクローム・ロマンス文庫ってどんな小説たち?」ということをご紹介したいと思います(少し緊張しながら)。以後お見知りおきくださいませ。

「モノクローム・ロマンス文庫」とは

モノクローム・ロマンス文庫とは、2013年に株式会社新書館が立ち上げたM/M小説の翻訳専門レーベルです。FBI捜査官と大学教授、行動分析官、海軍特殊部隊など、海外ドラマを彷彿とさせるユニークな職種の登場人物が活躍する作品や、英国王子とニュース記者、ホームズとワトソン、人狼たちといった、魅力的で多岐にわたる関係性をえがいた作品など、あまた存在するM/M小説の中でも選りすぐりのものを翻訳出版しています。2003_叛獄外伝_夏の離宮mini

レーベル最新作『夏の離宮』C.S.パキャット イラスト:倉花千夏
大人気「叛獄の王子」シリーズの外伝となる短編集です。

さらに特筆すべきは、大人の男たちを魅力的に描く日本のマンガ家・イラストレーターと、良質なM/M小説をカップリングして、より小説の世界を掘り下げていること。原作の世界観をみごとに表現したビジュアルで、BL読者のみならず、「洋画や海外小説が好き!」という方にも高い評価を得ています。

アドリアン

『アドリアン・イングリッシュ(1)  天使の影』ジョシュ・ラニヨン イラスト:草間さかえ

「M/M小説」とは

さて……。先ほどから頻出している「M/M小説」という単語、皆さまご存じでしょうか。フジテレビ・ノイタミナ枠で初のBLアニメ『ギヴン』(原作コミックは弊社刊! 読者の皆さまありがとうございます!)が放送されるなど、BLはすっかり市民権を得た印象ですが、男性どうしの恋愛をテーマとした作品の人気は、日本国内にとどまりません。
“欧米版BL小説”とも呼べる存在、それがM/M小説(えむ/えむしょうせつ)なのです。
「M」は男性を意味する英単語「Male」の略、「/」(スラッシュ)はこの場合、日本BLにおける「×」の役割をイメージするとわかりやすいかもしれません。(注:ただし「×」と異なり、「/」の“左右”は“受・攻”を明確にするものではありません。「A/B」は「Aが攻・Bが受」ではなく「AとBの関係性」の意です)

わが愛しのホームズ

『わが愛しのホームズ』ローズ・ピアシー イラスト:ヤマダサクラコ

「M/M小説」の特徴

M/M小説には、
1. それまでのゲイ小説に比べ、女性の書き手が多いこと
2. ネットなどでの二次創作→オリジナルという流れをたどってきた作家が多いこと
など、日本のBL文化と深い共通点があります。
「女性が(主に)女性のために書く」エロティックロマンス。ニッチな市場だったジャンルは2008年ごろから大きく成長し、今ではペンギン・グループなどの海外大手出版社も参入するような規模になりました。
M/M小説の作者には、現実のLGBT問題に寄り添ったスタンスをとる書き手が多く、エンターテイメントである一方で、ゲイ差別やAIDSの認識など、社会問題について真っ向から取り組んだ作品も見られます。
日本の萌えと予想以上の共通点もあれば、「そうくるか!」と驚かされることもある、海外育ちの萌えが詰まったジャンル……それがM/M小説なのです。

ロイヤルシークレット

『ロイヤル・シークレット』ライラ・ペース イラスト:yoco

モノクローム・ロマンス文庫の現在と、これから。

そんなM/M小説の翻訳専門レーベル「モノクローム・ロマンス文庫」は、2020年に立ち上げから7年目を迎えました。刊行作も30冊を超え、記念すべきレーベル初のイベント「モノクローム・ロマンス文庫 ライブラリー&イラスト展」が開催されました。
コーヒーショップを併設するギャラリーを会場に、日本の人気イラストレーターが手がける文庫の表紙・挿画イラストの展示や、既刊・オリジナルグッズの販売、原著ペーパーバック・関連書籍の展示などをおこない、多くの来場者さまから喜びの声が寄せられました。

イラスト展その1

イラスト展その2

「モノクローム・ロマンス文庫 ライブラリー&イラスト展」会場のようす。2020年1月11日~1月19日「River Coffee & Gallery」にて開催。

そ知らぬ顔でカフェギャラリーに足を運び、美味しいコーヒーをいただきながら、来場者さまの抑えきれない興奮の様子に頬の内側を噛みしめた、あの1月の幸福が遠い昔のことのよう。2020年の春、「街の本屋さんにふらりと立ち寄る」「カフェで読書をする」といった、かつては日常の一部だった幸せにアクセスすることが難しい状況が続いています。
本と読書を愛する人に、「モノクローム・ロマンス文庫」レーベルから、この状況下でもお届けできることはないでしょうか。手探りで始まったこのWebマガジンが、ほんの少しでも皆さまのおうち時間の応援に繋がれば幸いです。

▲「モノクローム・ロマンス文庫」公式HP。よろしければこちらにも遊びに来てください。

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